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《ブラジル》上院議長選=連邦政府が後任候補に難色=民主党所属のパシェコ氏=テメル罷免に前向きだった過去=気になる大統領長男の扱い

パシェコ上議(Senado)

 来年2月に行われる上院議長選後、大統領長男フラヴィオ上議(共和者・RP)の罷免問題をめぐる動きが活発化する可能性が強まり、連邦政府が強く懸念しはじめていると、21日付G1サイトなどが報じている。
 上院では現在、フラヴィオ上議のリオ州議時代の「ラシャジーニャ疑惑」に基づく罷免問題が表面化し、野党側が倫理委員会にも訴えている。この動きは、同件へのブラジル情報庁(ABIN)関与疑惑の報道でより活発化する可能性がある。
 連邦政府側は当初、この件に関しては心配していなかった。それは、現職のダヴィ・アルコルンブレ議長(民主党・DEM)が倫理委員会での審理を差し止めていたためだ。さらに政府は、次期上院議長に関し、「アルコルンブレ氏の再選だろう」と読んでいたため、特に対策も行っていなかった。
 だが、最高裁の審理で、「同一任期中に2期連続の役職就任は違憲」との判断が下り、アルコルンブレ氏の再選が否定されたことで、事態が一変した。政府は現在、その後任候補をめぐり、慌てている状態だ。
 後任として考えているのはロドリゴ・パシェコ氏(DEM)だが、この人選に連邦政府は強い危機感を抱いている。それは、パシェコ氏が議長になった場合、必要と判断したら「フラヴィオ氏の審理を進めるのでは」という憶測が立っているからだ。

 パシェコ氏は、下院議員だった2017年に憲政委員長を務めており、当時、JBSショックで連邦検察庁が告発を求めていた当時のテメル大統領の罷免審理に対して、きわめて積極的だったためだ。この時の罷免審理は結局、否決となったが、同氏は当時、テメル氏と同じ民主運動(MDB)の所属だったにもかかわらず、テメル氏への罷免阻止を保証しなかった。
 パシェコ氏の名前は反ボルソナロ、反フラヴィオ派の議員には受けが良い。左派のランドルフ・ロドリゲス上議(REDE)はすでに、パシェコ氏に関して「反対する理由がない」として支持の構えを見せている。また、当初、独自候補を出そうとしていた会派「ムーダ・セナード」も、率いているのが反ボルソナロ、反フラヴィオ派のマジョール・オリンピオ上議(PSL)で、会派のモットーも「汚職撲滅」なだけに、支持を得られる可能性は強い。
 ただ、議長職奪回を目論む上院最大党(13人)のMDBが連邦政府に好意的な姿勢を見せている。下院での大統領との接近が目立っているセントロンの社会民主党(PSD)の進歩党(PP)はそれぞれ、12人と7人だけに、これらの党が協力すれば当選に必要な41票の獲得はありえない話ではない。エスタード紙が17日付で報じたところによると、パシェコ氏がアルコルンブレ氏の後任として考えられていることに、上院の過半数が納得していないという。
 パシェコ氏に関しては、ボルソナロ大統領自身も支持しない意向だという。