JICAブラジル事務所の佐藤洋史所長(53、千葉県出身)が1月9日に帰国するに当たり、17日に来社して任期を終えるに当たっての心境を語った。
「今回は5年近くいますが、正直言ってもう少し居たかった。というのも、最後がコロナであまり身動きがとれなかったからです」と後ろ髪を引かれる心境だという。
親がブラジル駐在員だった関係で、佐藤さんは70年代にサンパウロ市で育った。「ブラジルで仕事をしたい」と考えてJICAに就職し、最初に2000年から05年に駐在、今回は2016年からで計15年間を当地で過ごした。当地は思い入れの深い場所だという。
16年に次長としてサンパウロ出張所に赴任し、19年3月からブラジル事務所に格上げされ、所長になった。「大きな節目に立ち会わせたと思っています。途上国の問題を解決するのに日本の技術をマッチングさせる民間連携事業に力を入れるようになると、企業が多いこちらに比重が高まり、安倍首相が来伯されて日系社会ボランティアが倍増されて日系社会の規模の大きいサンパウロでの活動が増えた。そんな節目に立ち会わせ、前任が流れを作り、私にバトンタッチされたという感じです」と淡々と振り返った。
パンデミックが本格化した3月中頃、急きょ95人の協力隊員全員を10日間ほどで帰国させたが、JICA職員は残った。「全伯の日系団体にボランティアを送り出している関係から、ノルデスチ、南麻州、アマゾンなど各地をこの目で見ることができた。コロナの動向を見極めながら、来年の派遣を検討しています」と語った。
佐藤さんは当面、東京の本部に戻るとのこと。後任は1月4日に着任し、自己隔離期間に入り、その後に活動を本格的に開始する予定。