22日午前6時、リオ市のマルセロ・クリヴェラ市長(共和者・RP)が、市観光公社「リオトゥール」を軸とする贈収賄計画を主導した嫌疑で逮捕された。市長としての任期を9日間残しての逮捕劇となった。22日付現地サイトが報じている。
今回の逮捕は今年3月に始まった「ハデス作戦」の一環で、リオ市政が行った贈収賄工作疑惑に関する捜査だ。市警と検察が「QG・ダ・プロピナ(賄賂本部)」と呼ぶ犯罪組織をクリヴェラ氏らは形成し、4年間にわたって贈収賄を行ってきたと見ている。
市役所からの委託事業を受けたい企業がこの賄賂本部に裏金を渡し、その見返りに受注するというシステムで、その裏金が政治家に渡っていた疑いだ。
22日の逮捕劇は、リオ州地裁のローザ・ペナ・マセド・ギタ判事が了承したことによって起こった。同判事の命令で、クリヴェラ氏はこの日より停職処分となる。12月31日までの残り任期は、ジョルジェ・フェリペ市議会議長(民主党・DEM)が市長代行をつとめる。フェルナンド・マクドウェル副市長が18年5月に亡くなっているため、同議長が繰り上げで市長代行となる。
クリヴェラ氏は11月に行われたリオ市長選で敗れているため、任期は12月31日までしかなかったが、それを9日間残した段階での電撃逮捕となった。
リオ市役所内にある「賄賂本部」は、9月10日に行われた捜査の標的でもあった。リオトゥールでの贈収賄工作の中心人物として、クリヴェラ市長からの信頼が厚く、同公社総裁だったマルセロ・アウヴェス氏、その兄弟で収賄工作を指揮しているとされたラファエル・アウヴェス氏、リオトゥール、リオ市長宅、リオ市役所などが捜査対象とされた。
これらの捜査は、18年6月にセルジオ・カブラル元知事が逮捕された容疑のひとつ「カンビオ・デスリーゴ作戦」で逮捕された為替ブローカー、セルジオ・ミズラヒ氏の褒賞付証言(司法取引証言)を基に行われていた。
この疑惑にクリヴェラ市長が関与しているとの疑いはかねてから持たれていた。というのも、3月10日にラファエル・アウヴェス氏宅が家宅捜索された際、クリヴェラ氏がラファエル氏の携帯電話に電話をかけ、現場に踏み込んでいた連邦警察の捜査官がそれに応答する一幕もあり、緊密な関係が立証されていたからだ。
クリヴェラ氏の逮捕は早朝、バーラ・ダ・チジュッカの自宅で行われた。同氏は逮捕を全く予想しておらず、逮捕時はパジャマ姿だった。「私は政治的に迫害された犠牲者だ」とクリヴェラ氏は反論している。
また、ラファエル氏が再逮捕されたほか、市長選でクリヴェラ氏の会計担当だったマウロ・マセド氏、ほか3人の計6人が逮捕された。また、クリヴェラ氏の元補欠上院議員でウィルソン・ヴィッツェル・リオ州知事(停職中)の下で水産局長を務めていたエドゥアルド・ロペス氏も逮捕対象だったが、パラー州ベレンに出かけており、同時逮捕とはならなかった。
リオ州検察局によると、賄賂本部を通して動いた金は5千万レアルに上るという。ラファエル氏は2016年の市長選でクリヴェラ氏を支援。当選後に兄弟のマルセロ氏がリオトゥール総裁に任命されると、役職もないまま組織的な贈収賄工作を取り仕切っていた。ただし、検察はクリヴェラ氏を賄賂本部のトップと見ており、同氏を「01」と呼んでいる。
クリヴェラ市長は、同じくリオ州選出下議だったボルソナロ大統領との関係が深く、今回の市長選でも大統領の支持を得ていた。また、長男のフラヴィオ上議、次男のカルロス・リオ市議をRPに移籍させるなどしていた。連邦政府も、今回のクリヴェラ氏逮捕で政権内部に激震が走ったことを認めているという。