今年も早いものでもうクリスマスだ。今年は前代未聞のコロナ禍で、誰にとっても苦い1年であったことは間違いない。だが、ブラジル内のキリスト教関係者中で、2020年がもっとも苦いものとなったのは間違いなくリオの福音派だろう。そのイメージを悪化させる事象が、これほど立て続けに起きた例もあまりない。
まずは6月に発覚した、有名ゴスペル歌手でもあったフロルデリス下議(社会民主党・PSD)の夫殺害事件だ。夫の殺害を自ら計画して養子に殺させたという、驚くべき容疑を持たれている事件だ。
この事件と同時に、正確には何人いるのかさえはっきりしないほどの多数の養子との「養母」の間柄を超えた関係や、信者に「愛の儀式」なるものを授けていた疑惑なども噴出した。これほどまでの事件であるにもかかわらず、議員特権で逮捕もされておらず、所属のPSDがまだ除名処分さえ行っていないことも驚きだ。だが、年が明ければ具体的な動きがあるといわれている。
続いては、ウィルソン・ヴィッツェル・リオ州知事と、エヴェラウド牧師という、キリスト教社会党(PSC)を襲ったスキャンダルだ。同リオ州知事はただでさえ、コロナ禍での医療器具の不正購入で8月に停職処分を受け、罷免審理を待つ身となっていた。
そこに、かつては大統領選に立候補したこともあるPSC党首のエヴェラウド氏が、ヴィッツェル氏や自身の息子も巻き込んだ組織的な贈収賄工作で8月に逮捕。これで同知事の罷免もかなり避けられないものになっている。
そして、つい先日起こったばかりの、マルセロ・クリヴェラ・リオ市長(共和者・RP
)の逮捕が加わった。ただでさえ、再選を狙った11月の市長選で大敗し、任期もあともう少しで終わるところに、それを待てないとでも言わんばかりの贈収賄工作関与での逮捕。
これは本人だけではなく、同氏が広告塔のひとりをつとめるウニベルサル教会にも、選挙キャンペーン中に再選を熱烈に支持していたボルソナロ大統領にも泥を塗る結果となった。ボルソナロ氏は、クリヴェラ氏を仲介にして長男と次男をRPに党移籍させたばかりだっただけになおさらだ。
名誉回復のためにも、リオの福音派はしっかり悔い改めた方が良いだろう。(陽)