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【2021年新年号】丑年に回顧と抱負聞く=我慢の旧年、発展の新年=牛歩でも確実に次の一歩

 新年は丑年――。「丑年生まれ」といえばバラク・オバマアメリカ元大統領を筆頭に、日本の芸能人なら矢沢永吉(ミュージシャン)、武田鉄矢(俳優)、イチロー(元プロ野球選手)、宮沢りえ(女優)、上戸彩(女優)、白鵬(力士)など錚々たる有名人がいる。「牛」は古くから酪農や農業で人々を助けてくれる重要な生き物で、大変な農業を地道に最後まで手伝ってくれる様子から、丑年は「我慢(耐える)」や「発展の前振れ(芽が出る)」を表す年になると言われている。まさにパンデミックに耐えて新しい発展の基礎が作られる年になりそうだ。新年の干支にちなんで、35歳、47歳、59歳、83歳の「丑年生まれ」の男女に、旧年を振り返り、新年の目標や日本への思いやエールを語ってもらった。

「高齢者の集いの再開」=平間靖旺(やすお)さん(83、宮城県)

 「今年1年自粛続きで大変だった。最近になって少し緩和され、10月からパークゴルフを再開した。久しぶりに友人と会えて本当に嬉しかった」と平間さんは振り返る。
 平間さんの来年の目標は、コロナが終息してACEL「高齢者の集い」の再開、会員同士の交流とのこと。「来年こそコロナが終息し、友人達と食事やカラオケを思いっきり楽しみたい」と力強く語った。
 日本については、「57年ぶりの東京オリンピック、ぜひ開催してほしい。それまでになんとかこのコロナが終わってほしい」と期待を込めた。(パラナ州ロンドリーナ在住。ロンドリーナ文化体育協会(ACEL)名誉評議員議長)

「文協福祉部門の強化」=山室信工(まこと)エルベルトさん(59、二世)

 山室さんは今年1年を「今までにないコロナ禍を経験し、本当に大変でした。私だけでなく皆、世界各所で精神的ストレスや経済打撃が相次ぎました。そんな中でも文協は多くの方に支えられていることを改めて感謝する年になりました」と振り返る。
 山室さんの来年の抱負は文協理事として、高齢化社会に対応する日本からそのノウハウを学び、同協会の福祉的要素を強めることだ。「日本ならびに東洋は福祉技術や精神統一など心的バランスを保つ方法、技術が発達していると思います。その部分を学び、日系社会高齢者の憩いの場を作りたいです」と語る。
 日本には「コロナが終息して無事オリンピックを開催してほしい。日本や世界が明るく活性化するような大会になることを期待しています」と述べた。(ブラジル日本文化福祉協会企画予算担当理事)

「JUCESPのデジタルオンライン強化」=飯星ワルテルさん(59、二世)

 飯星さんは、かねてより進めていたJUCESPの業務を来年100%デジタル化することを抱負にあげた。「今年はどこもコロナで大変でしたね。うちも3、4月は仕事ができませんでした。でもこのコロナがいいきっかけで、以前から行っていたデジタル化が一気に進みました。来年には全てデジタル化できるよう調整したい」
 日本については、「日本の皆さん頑張ってこの災禍をのりこえましょう! コロナ禍終息後にはまた訪日したいです!」と語った。(元下議・サンパウロ州商業評議会(JUCESP)会長)

「多くの患者の診療を」=ウエノ・マルシア・ケイコさん(59、三世)

 「自粛期間に診療できなかった分、来年はそれを巻き返すぐらい治療したいです」。眼科医として診療所を持つウエノさんはコロナ禍の自粛により同所を4カ月間、営業停止した。ウエノさんの目標は、その自粛期間で診ることができなかった患者やボランティアで診療している貧困層の人をより多く診ることだ。
 また、「日本はこの災禍でもお互いに敬意をもって行動している。その良い習慣をこれからも続けて乗り越えてほしい。また、その習慣を学びたい」と日本へのメッセージを述べた。

「悔いのないよう人に会う」=永井・川岡・ジュリエッタさん(59、二世)

 「来年の目標はコロナ禍終息後、後悔のないよう積極的に人に会いに行くことです」。永井さんは、長年テレビ放送関連の仕事をして多忙な毎日を送っていたが、このコロナの自粛を経験し色々な気づきを得たという。
 「これまで仕事を優先し、個人的に会いたい人達を後回しにしてきました。今年は自粛生活が続く中、そのサイクルが乱れ、例外な一年となってしまいました」と振り返り、「その経験から、来年の目標は、この災禍終息後にそれらの人達と会う事だ、と自ずと決まりました」と語る。
 日本には、「こんな災禍でも感染者・死亡者が少なく本当にすごい。精神面や経済面の打撃も多いのに頑張っていると思う。もう少しの辛抱でしょうから共に頑張りましょう」と勇気づけた。

「家族と後悔の無いように過ごしたい」=ヒラカワ・マルコス・アルベルト・コウイチさん(59、三世)

 ヒラカワさんの来年の抱負は安定した経済の下、家族と穏やかに過ごすこと。ヒラカワさんは「今年はコロナで色々なことが変わりました。特に世界的にも経済的打撃が大きく、私も失業する可能性がありましたが、多くの方に支えられたおかげで仕事を続けることができました」と振り返る。「家族を守れるように今まで以上に働きたい。そして、世界中の人がまた平穏な生活に戻れるよう願っています」と祈った。
 日本へのエールとして、「共にコロナ禍を乗り越えて、また幸せがくることを願いましょう!」と述べた。

「日系人としてブラジルに貢献したい」=フジワラ・フェルナンドさん(59、三世)

 フジワラさんは、「今年はホームオフィスになり環境が大きく変わりましたが、なんとか家族と共に無事に過ごすことができました」と振り返り、来年の抱負は、「日系人として習った日本の価値観、文化、教育などを思い出して協力し、それを駆使してブラジルに貢献することです」と熱く語った。
 日本については、「日伯間の交流がより強固になるように願っています。共に頑張ってこの災禍を乗り越えましょう!」

「社会貢献と若手人材育成を目標に」=吉田章則さん(47、埼玉県)

 「例年のような日本祭りなどのイベントが出来ない寂しい1年でしたが、日系福祉施設や移民史料館への寄付活動、地方及び埼玉県から参加できるオンライン日本語クラスを始めるなど、日系社会への貢献継続のための工夫をした年でした」と吉田さんは旧年を振り返った。
 新年の抱負は、「来年は県連や埼玉県人会の若手人材育成にもっと力を入れ、日伯間で人材交流ができるような活動にも挑戦していきたい。県庁との連携や交流を若手に任せられるような土台を作っていきたい」との事。
 また、日本には、「みんなで協力して連携強化に貢献し、より活発に交流したい。共にこの災禍を乗り越えましょう!」とエールを送った。(埼玉県人会会長)

「ニューノーマルに沿って目標を考えていきたい」=村田エリカさん(47、三世)

 「コロナ終息後、新しい生活様式がどんなものになるか、先が見えないので楽しみです! 目標は予想のつかない新生活に沿ってその都度考えていきます!」。日系物流会社に勤める村田さんは、このコロナで進んだオンライン化や、これからの未知の新生活に期待を寄せている。
 村田さんは「今年は自粛でホームオフィスになるなど180度生活が変わりました。その結果、自分を見つめ直す時間ができ自分自身を理解し、人と会う大切さを知る良いきっかけになりました。仕事もプライベートも新しいニーズに沿って頑張りたいです!」と笑顔で語る。
 日本については、「悪いことは長くは続かないから諦めず、このコロナを乗り越えてほしい。そうしたらいつか明るい日が再びくるので共に頑張りましょう」と語った。

「新しい環境への挑戦」=石山裕記さん(35、三世)

 「12年勤務した会社を辞め、来年独立します」。石山さんは日系飲料会社を退職。来年より親戚と共に新規事業を立ち上げる決断をしたという。「退職した会社は長年お世話になったため、よく考え決断しました。来年は年始めからお義兄さんと共にがんばります」
 今年1年については、「コロナ一色で大変だったが、それがオンライン化の促進やコロナ禍での経営方針を考えるなど今後の自分の成長させるきっかけに繋がった」と前向きな意見を語る。
 また、日本についても。「オリンピックまでにコロナが終息してほしい。国民がワクチンを打つなど対策して安心して開催できるよう願います」と五輪への期待を述べた。