サンパウロ州保健局は4日、コロナウイルス変異種の感染者2人を確認したと発表した。この変異種は昨年12月にイギリスで確認されたものと同じ遺伝子情報を持っており、同州初(国内初でもありうる)の感染例確認だ。4日付現地紙サイトが報じている。
英国と同じ型の変異種への感染を確認したのはサンパウロ市のアドルフォ・ルッツ研究所だ。同研究所は2日、3日と4日に変異種に感染した疑いのある人のサンプルをさらに詳細に分析すると発表していた。
変異種への感染の疑いそのものは12月31日に、2人から採取したサンプルで確認されていた。3日に行われた検査では、最初に検査が行われ、英国への旅行歴のある2人に関しては「変異種への感染なし」とされたが、25歳の女性と34歳の男性の2人は変異種への感染が確認された。
同研究所によると、女性感染者は英国領内を経由して旅行した人たちとの接触があり、12月20日に発症。2日後にPCR検査を受けた。男性に関しては、居住地や感染経路、発症時期などを調査中だ。
4日時点の発表では、感染者に関してこれ以上のことは明らかにされていない。
この変異種は12月にイギリスで確認されたB.1.1.7と呼ばれる型で、その感染力は従来のものの56%以上とも70%以上とも言われている。この変異種の発見により、イギリスでは南部を中心に大規模なロックダウンが行われ、年末までにブラジルを含む多くの国で渡航の禁止令を出した。それでも欧州や日本など、全世界30カ国以上で感染が確認されていた。
この変異種が従来のものより致死率が高いのか、現在すでに米国や欧州、南米の一部などで接種がはじまっているワクチンがこの変異種に対応できるかどうかなどは、現在のところ確認されていない。
3日現在のブラジルの感染者は773万3746人、死者は19万6018人と増加傾向にある。変異種が持ち込まれたことで、年末年始に乗じた感染再拡大が加速化することへの懸念も広がりそうだ。
世界保健機構(WHO)によると、この変異種に対しても、「手洗い」「マスク着用」「ソーシャル・ディスタンシング」がもっとも効果があるという。