ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》下院議長選で大統領派候補が不利に=家庭内暴力裁判が明るみに=過去に銃保持登録取消処分=LJ作戦で資産凍結の過去も

《ブラジル》下院議長選で大統領派候補が不利に=家庭内暴力裁判が明るみに=過去に銃保持登録取消処分=LJ作戦で資産凍結の過去も

リラ下議(Wilson Dias)

 下院議長選にボルソナロ大統領の推薦候補として出馬する中道勢力セントロン代表の候補、アルトゥール・リラ下議(進歩党・PP)が、最高裁で家庭内暴力の問題を抱えていると、7日付現地紙が報じている。
 2月1日に行われる下院議長選は、ロドリゴ・マイア現下院議長の推薦するバレイア・ロッシ下議(民主運動・MDB)とリラ氏との一騎打ちの様相が濃くなっている。両者とも票の獲得合戦の真っ最中で、現時点では両者とも200票以上の獲得が確実視されており、接戦が予想されている。
 そんな最中、リラ氏の印象を一気に悪くするような報道が行われている。8日付フォーリャ紙によると、リラ氏の前妻ジュリエーネ・クリスチーネ・サントス・リンス氏が昨年8月に、2人の子供と連名で、最高裁にリラ氏を家庭内暴力で訴えていたという。
 ジュリエーネ氏の証言によると、暴力を受けたのは彼女だけでなく、二人の息子、とりわけ次男の方に言葉の暴力を浴びせ、精神的な苦痛を与えていたという。
 ジュリエーネ氏は2006年にもリラ氏を傷害罪で訴えている。このときはジュリエーネ氏が離婚後に他の男性と交際していた際、リラ氏がジュリエーネ氏の家まで出向き、殴る、蹴る、髪をつかんで床にたたきつけるという暴行を加えた上、叫ぼうとするジュリエーネ氏の口を塞いで侮蔑する言葉を浴びせたという。この件の裁判は9年かかったが、リラ氏は無罪を勝ち取っていた。

 今回の訴えでジュリエーネ氏は、「1日24時間、リラ氏の暴力に怯えている」と語り、彼女と現在の交際相手への緊急の保護を求めている。
 こうした経緯から、昨年10月にはアウグスト・アラス連邦検察庁長官がジュリエーネ氏の訴えを家庭内暴力として、同種の事件を専門とする裁判所に回すよう進言。これを受けて、ルイス・ロベルト・バローゾ最高裁判事がブラジリアの裁判所に回したが、リラ氏が最高裁で審理するよう控訴した。この件は今年2月に最高裁で審理されることが確実視されている。
 リラ氏の裁判沙汰はこれだけではない。2018年には9ミリ拳銃の所持登録を最高裁のエジソン・ファキン判事から取り消されている。また、2007年にも、ジュリエーネ氏らを脅迫したとして、アラゴアス地裁に訴えられた。
 リラ氏はPPの行ったペトロブラスとの贈収賄工作にも関与した疑いが持たれており、昨年6月には160万レアルの賄賂をケイロス・ガルヴォン社から受けた嫌疑で起訴されている。この件はのちに却下されたものの、高等裁からはラヴァ・ジャット作戦絡みで、元上議で父のベネジート氏と共に、親子で計1040万レアルの資産差し止め命令を受けている。
 2018年には、「アラゴアスのラシャジーニャ」とも呼ばれる、同氏がアラゴアス州議時代の贈収賄工作疑惑で起訴されたが、この件は昨年12月に同州地裁によってお蔵入りとなっている。