2月の下院議長選で現職のロドリゴ・マイア議長の推薦候補となっているバレイア・ロッシ下議(民主運動・MDB)に汚職疑惑が生じていることや、支持を表明した政党からの波乱要素が少なくないことが報じられている。9〜11日付現地紙が報じている。
バレイア下議に関しては、労働者党(PT)や社会民主党(PSL)といった支持主要政党が、党上層部レベルで推すことを公認していることで、有利になったと見る向きもある。だが、その矢先に、同下議に関して不利な報道が次々に出ている。
まず、8日付フォーリャ紙電子版では、バレイア氏がサンパウロ州リベイロン・プレットで企業「アトモスフェラ」の人事に関して、ある人物を役員にする際、引き換えに食品大手JBSから違法献金を受け取っていたとの疑惑を報じている。
この件は、サンパウロ州検察局が連邦検察庁に渡し、さらに検察庁が最高裁に報告したことでわかったもの。
バレイア氏は、2017年に起きた最大手食肉会社JBSスキャンダルの際、逮捕された同社社主ジョエズレイ・バチスタ容疑者の報奨付供述の中で、2010年のサンパウロ州議選に関して同社から違法献金を受け取っている疑惑が証言されていた。
今回の報道とは直接関係ないが、大統領三男のエドゥアルド下議(PSL)は10日、トランプ支持者に人気の右派SNS「パーラー」で、バレイア氏の父、ヴァギネル氏を「ジウマ政権の汚職閣僚」と呼んで批判した。バレイア氏の父のヴァギネル氏もジウマ政権時に水産相をつとめた政治家で、サンパウロ州埠頭公社(Codesp)総裁時代のサントス港の運営契約を巡る贈収賄工作容疑で2018年に逮捕されている。
エドゥアルド氏はPSL内のボルソナロ派の筆頭格で、バレイア氏への投票に強硬に反対している。同党の下議は半数以上が大統領の推薦するアルトゥール・リラ下議(進歩党・PP)への投票を希望しているが、同党党首のルシアーノ・ビヴァール下議は、「裏切り者は追放する」との姿勢を打ち出している。
4日にバレイア氏に投票することを決めたPT内でも、別件で、同氏に対する不信感が高まっている。それは、フォーリャ紙の取材に対して、バレイア氏がボルソナロ大統領の罷免審議に否定的な発言を行ったからだ。
今回の選挙でマイア氏は、バレイア氏への票を強化する対策として、左派政党の協力を仰いている。だがこれらの左派は、軒並み、大統領の罷免を求めている。
この発言を知ったPT党首のグレイシ・ホフマン下議は10日、「これではPTの票を失う」と警告して抗議。それを受け、バレイア氏は同日中にグレイシ氏と話し合い、罷免に関しては野党間の合意を維持していると言い直している。