ブラジル人が最も良く利用する貯蓄法で、必要な時にはすぐ引き出せ、少額しか貯蓄できない人にも心強い味方のポウパンサ(貯蓄預金)が、12日に導入160年を迎えた。
1861年のポウパンサ開設時、連邦貯蓄銀行(CAIXA)は、最も安全で、少しずつでも蓄えたいという人から大型投資を考える人まで、あらゆるプロフィールの人が利用できる貯蓄預金だと説明した。
11年後の1872年11月には、前年出た法令が実際に適用され、奴隷達にも貯金する事が認められた。所有者の許可を得てではあったが、奴隷達は、自分の開放を勝ち取るために口座を開いて貯蓄したのだ。これによって、社会の底辺にいるとみなされていた人にも自分達が欲しいと思うものを購入する道が開かれた。その流れは今も変わっていない。
より多くの利用者を獲得するため、銀行は皆、様々な取り組みを行ってきた。その一つは、ポウパンサと普通預金を組み合わせ、普通預金に積み立てた金をポウパンサに組み込むというものだ。
その他には、子供などを含む扶養家族のための口座開設を認めたポウパンサ・アズルや、宝くじ販売店(ロッテリカ)でも口座を開けられるポウパンサ・CAIXA・ファシル(PCF)などもある。生活扶助を受けている人がPCFを開けると扶助金をロッテリカで引き出す事も可能だし、ATMを使うと時間も節約できる。
インターネットや携帯電話のアプリで金を動かす人も増え続けており、最近は、勤続期間保障基金(FGTS)の緊急引き出し金や緊急支援金を受け取るためのポウパンサとして、「ソシアル・デジタル」と呼ばれる口座も自動開設されるようになった。
ポウパンサは所得税の徴収対象外で、必要な時にはすぐに引き出せるため、少額しか貯められない人でも使いやすい。現在は経済基本金利(Selic)が低いため、基本金利の70%ほどの利子しかつかないが、大きな額を長期間預けておけない人には、最も扱いやすい貯蓄法だ。
CAIXAによると、20年9月現在のポウパンサの残高は3876億レアルで、前年同月比で761億レアル(24・4%)増えた。コロナ禍によって失業者が増え、生活に困窮している人も多い中での残高増は、緊急支援金やFGTSの緊急引き出し金を貯蓄に回した人がいた証拠とみられている。昨年の第3四半期末に動いた緊急支援金や緊急引き出し金は、総計1808億レアルとされている。(12日付アジェンシア・ブラジルより)