【既報関連】アマゾナス州のオズワルド・クルス財団(Fiocruz)の研究者が12日、同州で新型コロナウイルスの新たな変異種を確認したと発表したと同日付現地サイトが報じた。
11~12月に採取されたサンプルから発見された新変異種はB.1.1.28と命名された。この型は、同州で確認済みの変異種にはない変異を遂げているという。
研究者達によると、この新変異種は、同州滞在後に日本に戻った人達から検出された変異種と同じ型だという。この変異種は、4月以降の同州での感染拡大を引き起こしたウイルスの変異型とみられ、感染力が増した可能性がある。
コロナウイルスの変異種のタイプは多数あるが、特に重要なのは、人の細胞の表面にあるACE2と呼ばれる受容体と結合するスパイク(S)タンパク質の変異だ。
今回発見された新変異種は初めのタイプの変異が見られた上、英国や南アフリカで発見され、感染力の強い変異種でも確認されたSタンパク質の変異も確認された。この変異種は発見されたばかりで、広がっている範囲や感染力の強さは確認されていない。
Fiocruz副所長のフェリペ・ナヴェカ氏は、変異は比較的容易に起こり、その特徴も異なるが、基本的な予防策は流行当初から同じとし、石鹸やアルコールジェルを使った手指洗浄や消毒、マスク着用、3密回避、抵抗力を高めるといった注意を守るように勧めた。
12日現在のアマゾナス州の新型コロナ感染者は21万8070人で、感染率は100万人あたり5万2615人(全国9位)。死者は5810人で、100万人あたり1402人という死亡率は全国2位だ。
同州での感染再拡大は顕著で、マナウス市では12日に150人が埋葬され、1日の埋葬者数の記録を更新。同市では1~11日に6回も1日の入院患者数の記録を更新するなど、状況は深刻化するのみだ。
12日現在のブラジル全体の感染者は前日比6万4025人増の819万5637人で、感染率は100万人あたり3万9千人。死者は1110人増の20万4690人で、死亡率は100万人あたり974人。それと比較してもアマゾナス州は格段に多く、なおかつ、入院患者数や死者数、埋葬者数は連日記録を更新中であることから、今後が心配される。
なお、12日には、エスピリトサント州保健局も、2019年12月~2020年6月にデング熱やチクングニヤ熱への感染の疑いで採取した血液サンプル中、12月18日付のサンプルから新型コロナウイルスの抗体検出と発表した。
検査結果が擬陽性だった可能性はあるが、この日付は中国が新型コロナウイルスの存在確認を発表した19年12月31日より早く、新型コロナが予想以上に早く各地に広がっていた可能性を示唆する。
同州保健局は、検査結果が正しければ患者が感染した時期は同年11月末から12月初旬と判断している。同州で再確認したサンプル7300件中、2・85%の210件で新型コロナの抗体が確認された。抗体が確認されたサンプル中79件は、デング熱かチクングニヤ熱にも感染していたという。