【既報関連】14日にアマゾナス州マナウス市で起きた病院での酸素欠乏と患者の窒息死の報道後、世界保健機関(WHO)が15日、「新型コロナウイルスが制御不能となるのは個人から政府までの全レベルの責任」との見解を表明。18日には感染者850万人、死者21万人を超える事が必至と16~19日付現地紙、サイトが報じた。
WHOのマイク・ライアン氏は15日、「マナウス市での医療崩壊は同市だけの事ではなく、アマパーやロンドニアなどでも同様の事態が起きている」とし、ブラジルでの感染再燃の最大要因は「気の緩み」と警告。「新型コロナウイルスが制御不能となるのは個人だけの問題ではなく、コミュニティや政府も責任を負っている」とした。
同氏は具体的な事象には言及しなかったようだが、マナウスの窮状について訊かれたボルソナロ大統領は15日、「マナウスの問題は悲惨だが、保健相は11日に現地に行き、酸素不足に対する対策も採ったし、今日は空軍機が臨時病院のために発った。我々はなすべき事を行った」と返答。
これに対し、サンパウロ州のドリア知事は「大量殺人」との表現で大統領を批判し、現政権の新型コロナ対策に関し、連邦議会が行動を起こすよう要請。大統領は同知事を「ガキ(moleque)」と評して反論したが、マナウスの窮状や予防接種の遅れはパネラッソ(鍋叩きによる抗議行動)も招いた。
マナウスの窮状は続いており、17日にはアマゾナス州知事が、ベネズエラ政府から寄付された10万立方メートル超の酸素が18日夜、届くと発表。患者移送も続いている。検察庁は、窮状を知りつつ、病院での窒息死を防げなかったとし、パズエロ保健相や知事、市長らの責任を問うための捜査を開始した。
他方、マナウス市で12月15~23日に採取した31のサンプル中13(42%)からは、日本で確認され、感染力がより強いとみられるB.1.1.28型の変異種が検出され、感染再燃との関係を調査中だ。
ただ、ブラジルでの感染再燃は全国的なものだ。10~16日(感染学上第2週)の新規感染者数は前週比5・4%増の37万9061人で新記録を更新。死者も6665人で前週比3・5%減ながら高水準なのは、年末年始の人出や3密が増えた証拠だ。死者数は多少減少したが、死者増は感染者増より遅れて起こるため、予断は許さない。
第2週の新規感染者数1位はサンパウロ州の7万9106人、2位はミナス州の4万8929人。バイア、リオ、パラナ、サンタカタリーナ、リオ・グランデ・ド・スルの各州でも2万人以上増えた。前週の新規感染者数と比べた増加率が高いのは、アクレ州77・1%、ロライマ州55・7%、マラニョン州51・6%、アマゾニア州47・1%など。
死者増加はサンパウロ州1587人、リオ州1051人、ミナス州761人が群を抜くが、前週の死者数と比べた増加率は、トカンチンス州46・4%やアマゾナス州32・0%、ミナス3州3・3%が高い。アマゾナス州の15~17日の死者は113人、80人、68人で、それ以前の平均を上回っている。
17日現在の全国の感染者は前日比33040人増の848万8099人、死者は551人増の20万9847人だ。