17日、大学入試や奨学生承認にも使われ、国内で最も重要な試験のひとつである、国家高等教育試験(ENEM)が行われた。当初の実施予定日から2カ月遅れで実施されたものの、コロナ禍の影響で試験そのものが差し止められたり、試験会場で入場を断られたりした人や、参加をとりやめる受験者が続出。初日の棄権率は51・5%という異例の数字を記録した。18日付現地紙が報じている。
今回のENEMに関しては、事前に再度の延期を求める受験生や大学関係者の声が強く、訴訟も行われたほどだった。だが、大学の新学期が近く、試験用紙も既に試験場所に配送済みなどの事情もあって、2度目の延期は実施されなかった。
だが、人工呼吸器の酸素が不足するほどの医療崩壊を起こしているアマゾナス州で56市、ロンドニア州で2市がパンデミックの影響を考慮して実施を中止。これらの市だけで、16万3170人が受験できなかった。
全国では1万171人の受験生が体調不良を訴え、事前に欠席を申し出ていた。内8180人に関しては、日を改めての受験が認められた。
さらに、受験者数が、今回の許容基準である「通常の収容人数の50%」を上回ってしまったため、試験が中止された受験会場もあった。こういった例は、パラナ州、リオ・グランデ・ド・スル州、サンタカタリーナ州、サンパウロ州などで起こった。
こうした事情で受験できなかった受験生に関しては、振替日での受験が認められる。受験の申し込みは1月25日から29日で、試験そのものは2月23、24日に行われる予定だ。
結局、初日は全国で申し込んでいた552万3029人の内、半数以下の268万697人が試験を受けた。この結果、51・5%が試験を棄権したこととなり、過去最高だった2009年の37・7%を大きく上回った。2019年の棄権率は23%に過ぎなかった。
初日の試験は「言語(ポルトガル語と外国語)」「人文科学」「作文」で、作文のテーマは「メンタル・ヘルス」だった。「言語」の問題の中には、男女サッカーの最高給選手(ネイマールとマルタ)の給与格差のように、性に基づく格差について問うものなどがあり、話題を呼んだ。
主催の国立教育研究院(Inep)とミルトン・リベイロ教育相は、パンデミックの中でもこれだけの人が試験を受けたことを評価し、今回の試験は「成功」と見なしている。
2日目の試験は24日で、「自然科学」と「数学」に関する試験が行われる。