一般社団法人「日本海外協会」(東京所在、林隆春会長)は、国籍・宗教問わず日本定住の外国人が納骨できる共同供養墓「メモリアル・リスタート・コミュニティ」建設を発表した。この共同供養墓は日本在住の外国人のために計画されたもので、本年4月15日に完成予定。同協会が運営を担当し、東京都都会議員の石毛しげる氏と、一般社団法人ブラジリアン・ビジネスグループ・アジアージャパン(橋本秀吉代表理事)が支援している。
在日ブラジル人が定住化31年を迎えた現在、30代以上で訪日した彼らの多くは60代を越えた。ブラジル人と同様に多くの外国人労働者が日本に定住して高齢化や病気により、日本で亡くなる時代になった。だが日本の墓地には外国人を埋葬できなず、遺骨の処理問題が年々増加しているという。
来社した橋本代表理事(三世・57歳)によれば、「国籍や宗教上の問題で日本の普通の墓地が外国人の遺骨を受け入れできないことや、非正規労働で働いている外国人は金銭面で墓の購入ができないなどの事態が生じている」という。
長年日本に定住していたことで、亡くなった際にブラジル側で遺骨を受け取るものがおらず、日本国内の友人宅や教会などに一時的に預けるケースも出てきている。だが日本の法令上、故人の遺骨を血縁者ではない他人が預かることは禁止されている。だが行政側も対処が難しい部分があり、解決策が見いだせず頭を悩ませているという。
そうした問題を解決するため、林会長が個人で800万円を負担してこの共同墓建設を計画した。都議でもある曹洞宗住職の石毛氏が所有する、都内八王子市にある墓地の一角を提供し、そこに現在建設している。
同墓は外国人専用の墓のため、国籍・宗教など関係無く納骨できる。永代供養を含めた納骨費用は基本4万円だが、事情があって捻出できない人には無料で納骨が可能だという。納骨堂内は約200個の骨壷が保存可能であり、そのスペースが満杯になったら墓の床下に埋葬し直す。この方法で何万人もの納骨が可能になるという。
現在まだ受付していないが、将来的な申し込み先は日本海外協会(事務局05・2442・1703、info@nihon-kaigaikyoukai.com)となる。
橋本代表理事は「日本の産業界を下支えした外国人労働者の遺骨を無下にできない。この墓を作ることで、教会や住宅に眠る遺骨を弔いたい。どうしても祖国に骨を埋めたい在外邦人も受け入れる」と語る。
このプロジェクトの応援者、聖市で派遣会社を経営する蛯原忠男さん(宮崎県・71歳)は、「デカセギ開始から30年余りが過ぎ、彼らが日本に骨を埋める時代になった。日本社会が外国人と共生する際に避けられない問題。彼の墓について真剣に心配する必要がある」と力強く語った。
同計画に関する問い合わせは、日本海外協会もしくは橋本さん(hashimoto@bbg-asia.com)まで。