ボルソナロ大統領は20日、米国大統領に就任したジョー・バイデン氏にメッセージを送り、友好と関係の強化を呼びかけた。だが、トランプ前大統領を信奉し、極右路線を貫いてきたボウソナロ氏にとって、今後の伯米関係は楽でないとの見方が強い。21日付現地紙が報じている。
ボルソナロ大統領はこの日、自身のSNSを通じ、バイデン大統領への祝辞を送った。ボウソナロ氏はそこで「ブラジルと米国の関係は、民主主義や個人の自由などを基礎とし、長きにわたって築かれてきたもの。これまで同様、両国の反映と両国民の幸福のために力を合わせて働いていきたい」とし、「伯米のパートナーシップの素晴らしい未来が見える」と語った。
ボウソナロ氏はさらに、経済や汚職撲滅、パリ協定などを列挙し、「両国に共通する関心事で協力していければ」とも書き記した。バイデン大統領は就任と同時に、トランプ政権が離脱したパリ協定に再加入するための手続きを行っている。
ボルソナロ氏はG20加盟国の首脳の中で、バイデン氏への祝辞がもっとも遅れた大統領として知られている。バイデン氏当確が出たのは昨年の11月7日のことだったが、ボルソナロ氏が当選を認めたのは、米国下院で選挙人投票の開業作業が行われた12月15日のことだった。ボルソナロ氏はその時点まで、トランプ氏が繰り返し主張してきたバイデン氏の選挙での不正に同調していた。また、その発言は、1月6日にトランプ支持者たちが連邦議事堂を占拠した事件の日にも飛び出していた。
だが、米国とブラジルの今後の関係は厳しいものになるとの見方が強い。それはとりわけ環境問題で顕著だ。バイデン大統領はトランプ前大統領との選挙戦での討論会の中で、ブラジルのアマゾンの森林伐採急増を批判しており、「世界中の国と協力し、200億ドルを投じて、ブラジルでの森林破壊をやめさせる」と公言。
今月に入ってからは、国家安全保障会議の西半球担当シニア・ディレクター(南米関係調整官)に反ボルソナロ派として知られるフアン・ゴンザレス氏を指名。ゴンザレス氏は指名後に早速、米国との良好な関係を望むなら、気候変動問題、民主主義、人権問題に関して、バイデン氏が選挙戦で訴えてきたことに耳を傾けるよう求める発言を行っている。
バイデン政権に移行することで、エルネスト・アラウージョ外相の立場が危うくなっていることが改めて指摘されている。同外相は熱心なトランプ信者、陰謀論者として知られ、ボルソナロ氏が中国批判などを行う際、制止役になるどころか、火に油を注いできた。それは、ボルソナロ氏がバイデン氏から環境問題で批判を受けたことで反論を行った際にも同様だった。こうしたことから、アラウージョ氏を対米外交上、不安視する声が大きい。
駐米ブラジル大使のネストル・フォステル氏も、ボルソナロ氏にバイデン氏の大統領当選を認めないよう働きかけていたと言われており、微妙な立場に置かれている。