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《サンパウロ市》43%が生活の質低下実感=19年の28%が一気に悪化

サンパウロ市のパウリスタ大通り(Rovena Rosa/Agencia Brasil)

 20年12月5日~21年1月4日に行われた「サンパウロで生きる」調査により、サンパウロ市では43%の人が生活の質の低下を感じている事がわかった。
 レデ・ノッサ・サンパウロが市内全域に住む800人を対象に行った調査では、生活の質が少し低下したと答えた人が27%、かなり低下したと答えた人が16%で、計43%が生活の質の低下を感じていた。
 他方、変わらないと答えた人は39%、よくなったと答えた人は14%いた。
 19年は生活の質が低下したと感じている人は28%だったから、生活の質の低下を感じている人はかなり増えている。
 レデ・ノッサ・サンパウロのコーデネーターのジョージ・アブラアン氏は、「生活の質が低下したと感じている人が大幅に増えており、注目に値する」という。
 生活の質低下の主な要因と見られているのは、新型コロナウイルスの感染拡大だ。感染拡大抑制のためにとられた外出自粛策や経済活動の停滞、失業率上昇などは、様々な形で市民生活に影を落としている。
 だが、できる事ならサンパウロ市を離れて、別の町で暮らしたいという人は60%で、19年の64%より若干減った。
 サンパウロに住んでいる利点として様々な機会や質の高さを挙げた人は19%で、労働市場を挙げた人が14%、サービスの多様性を挙げた人も13%いた。
 サンパウロ市の問題点として暴力を挙げた人は31%で、犯罪の多さ18%、社会格差11%が続いている。

 様々な機関への信頼度をみると、地下鉄には70%が信頼感を示した。以下、水道公社57%、人権局傘下で青少年の人権擁護や保護を担当する福祉協議会51%となっている。
 市警備隊(都市圏市民警察、GCM)は前年より6%ポイント低下して36%、サンパウロ交通機関公社(SPTrans)も7%ポイント低下して44%となった。最も信頼感が薄かったのは市議会の22%。市役所は31%だった。
 アブラアン氏は、「市役所や市議会、司法関連機関は、ここ12年間、信頼度が低下し続けている」とし、「我々は政治家が信頼を失う時代を生きている」という。
 同氏によると、サンパウロ市はブラジルで最も豊かな市として、全国の模範を示さなければならないのに、社会格差その他の問題への具体的な解決策を打ち出せない状態が続いており、各種の機関への信頼感を失わせているという。
 社会開発・支援局によると、既存の機関への信頼感喪失はサンパウロやブラジルだけではなく、世界中が政治への信頼感を失いつつあるという。
 同局局長のベレニセ・ギアネラ氏は、サンパウロ市の殺人事件発生率は他市と比べて低いのに、犯罪が多いと感じている市民が多いとして、市役所の広報の在り方にも問題があると指摘。
 新型コロナのパンデミックで状況が大きく変わった事もあり、路上生活者の実態調査など、社会の目が届きにくい地区や人々にも関心を寄せていく意向も示した。19年は、路上や市の収容施設で寝泊まりしている人が2万4300人いた。(21日付アジェンシア・ブラジルより)