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《ブラジル》オックスフォード・ワクチンが到着=全国への配布開始=中国からの原材料輸出もOKに

リオ市の空港に届いたオックスフォード・ワクチン(Fernando Frazao)

 インドからの輸入が遅れていたコロナウイルス用「オックスフォード・ワクチン」が22日にようやく到着した。同ワクチンはラベル張りなどの作業後、既に全国の保健機関に配布され、接種も始まっている。また、懸案となっていた、ワクチンのコロナバックも含む中国からの原材料も2月8日に輸出されることが決まっている。この材料でブラジルでの同ワクチンの製造を行う予定だ。23〜26日付伯字紙が報じている。
 オックスフォード・ワクチンの緊急使用は、17日に国家衛生監督庁(ANVISA)がコロナバックと共に承認したが、インド政府が「国内需要を優先させたい」と言い出して、オズワルド・クルス財団(Fiocruz)があてにしていた、インドのセーラム研究所からの同ワクチンの輸出のめどが立たない状態となっていた。
 だが、インド政府がようやく了承したため、21日に同国を発った便に搭載した200万回分の同ワクチンが、22日夜、リオ市のガレオン空港に到着した。
 同ワクチンはインドの総領事も同席したセレモニーの後、リオ市内にあるFiocruzの本部に送られ、点検やラベル張りといった作業の後、23日には、アマゾナス州に13万2500回分、セアラー州にも7万2500回分といった具合に、全国への配布が始まった。
 その他の州も24日にはワクチンを受け取っており、サンパウロ州などでは実際の接種も始まった。サンパウロ州には全体の4分の1にあたる50万1960回分が送られており、26日には各市の保健機関での接種も始められた。
 22日にはANVISAが、17日に承認した完成品600万回分に加え、国内生産分のコロナバック480万回分の緊急使用を認めた。一部はまだ、梱包と最終監査待ち。これを受け、サンパウロ市のブタンタン研究所は同日中に90万回分を州保健局と保健省の保管庫に送付した。

 これにオックスフォード・ワクチンの200万回分を加え、合計で1280万回分のコロナワクチンの緊急使用が承認されたことになる。
 ボルソナロ大統領は25日、「中国がワクチンに必要な原材料5400リットルを解禁することにした」とツイッターで発表した。ここでの書き方によると、この解禁措置はコロナバックに関するもので、オックスフォード・ワクチンの原材料に関しても、「認めてもらうよう急いでいるところだ」としていた。コロナバックに関する解禁は同日中に、中国政府も認めた。
 ただし、コロナバックの原材料解禁は、サンパウロ州政府の依頼を受けたテメル前大統領が24、25日に動いた結果ともされており、連邦政府の手柄とは言い難いようだ。なお、サンパウロ州のドリア知事は26日朝、中国大使と会合を持っており、ジマス・コーヴァス・ブタンタン研究所所長が、原材料は3日に到着との見通しを明らかにした。
 中国からの原料輸入は、エルネスト・アラウージョ外相と中国政府との対立などで、不安視されていた。同外相は普段から中国の陰謀論をまきちらし、昨年7月に中南米諸国を対象に中国が支援を申し出た会議にも無断欠席するなどして、同国政府の関係者を激怒させていた。
 一方、保健省は24日、米国ファイザー製薬から同社製ワクチンの打診を受けたことを明らかにした。同ワクチンは95%の効用を売りに、米国や欧州で広く接種され、ブラジルでの関心も高いが、保健省は「きわめてマーケッティング的」だとして、この提案を批判している。
 他方、最高裁のリカルド・レヴァンドウスキー判事が22日にロシア製のワクチン「スプートニクV」の緊急使用に関する報告を求めたことに対して、ANVISAは25日に「国内での治験と審査を抜きに、緊急使用を認めることはできない」との見解を提出した。しかしレヴァンドウスキー判事は26日、国内でスプートニクVを生産している研究所に、同ワクチンの有効性や輸入の見込みなどに関する資料を提出するよう求めた。