【既報関連】医療崩壊が起き、新型コロナ感染症患者の窒息死や州外移送が起きたアマゾナス州マナウス市では、感染力がより強いと思われる変異種B.1.1.28、またはP1に感染した患者が約半数に上る事が分かったと22、23日付現地紙、サイトが報じた。ブラジルは現在真夏であり、なかでも気温の高いアマゾン地方で感染拡大している。
P1は、アマゾニア州滞在後、日本に帰国した人から発見され、日本から保健省に通達があった。その後、12月に採取したマナウス市在住の患者のサンプルから同型変異種が検出された。P1には、英国や南アフリカで見つかった感染力がより強い変異種と同じ変異が見られ、従来型ウイルスより感染を引き起こし易いとみられている。
アマゾナス州の感染拡大は抑制できておらず、他州から送られてくる酸素が到着し始めても他州への患者の移送が続き、移送先で死亡する患者も出ている。
また、パズエロ保健相は関係を否定したものの、12月以降に感染したマナウス市の感染者の42%はP1に感染していた事や、P1に再感染した患者の存在も確認されている。
マナウス市内でP1による感染者や再感染者が確認された後、ブラジル人やブラジル経由の旅行者の入国を拒否する国も出始めた。P1への感染者は既に、英国やドイツ、米国でも確認されている。
パラナ州クリチバ市では21日、マナウス市からの旅行者9人のコロナ感染が確認され、サンプルがオズワルド・クルス財団(Fiocruz)に送られた。うち同市の医療機関で診察を受けた夫婦一組は連絡が途絶えており、公衆衛生上の犯罪行為として市保健局が裁判所に訴える可能性も出ている。
英国で発見された変異種は感染力が強い上、致死率が高いともの話も出ている。新たな変異種で感染が急拡大して医療崩壊が起きた町では、医療機関が患者を受け入れきれず、自宅で死亡したりする例も増える。
マナウス市での医療崩壊もP1による感染拡大と無縁とは考え難く、12月13日からの感染学上の第51週以降のアマゾナス州の感染者は、第52週の19・8%以外は、37・2%、35・2%、89・9%、47・1%、17・2%と増加が続いている。同時期の死者は、50%、24・4%、56・7%、126・3%、32・0%、104・4%と間断なく増え続けている。
ただ、15日以降の死者には病院の酸素が尽きて窒息死した患者や病院で対応できずに死亡した患者も含まれており、これらの数字だけではP1の致死率は判断できない。
17~23日(感染学上の第3週)の全国の新規感染者は36万1195人で前週の37万9061人より4・3%減ったが、1週間の感染者数は前週に次ぐワースト記録で、1日平均5万1599人の感染が確認された。
同期間中の死者は7149人で、第27週の7195人に次ぐワースト6位。1日平均の死者が1千人を超えた事は8回あるが、第2波に入ってからは初めてだ。25日現在の感染者は887万1393人、死者は21万7664人だ。