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《ブラジル》マナウス型変異種サンパウロでも=国のコロナ対策の不備表面化=保健相や大統領の責任は?

予防接種の即時実施を求めるマナウス市の救急隊員(Juliana Pesqueira/Amazônia Real)

 【既報関連】アマゾナス州マナウス市で確認された感染力が強い変異種「P.1」(以下P1)への感染者がサンパウロ州でも確認され、国としてのコロナ対策の不備が表面化と26、27日付現地紙、サイトが報じた。マナウス市では窮状の中で予防接種計画違反例が確認され、予防接種やワクチン配布が停止されるなどの問題も起きている。
 サンパウロ州でのP1感染者確認は、アドルフォ・ルッツ研究所が26日に明らかにした。確認された患者は3人で、いずれもマナウス市に旅行または滞在していた。マナウス市以外の地域でのP1の国内感染例確認は初めてで、専門家は空港での警戒態勢強化などを求めている。
 P1はアマゾナス州での感染者急増を招いた最大要因と見られている。22日の報道ではマナウス市内の感染者の42%がP1感染とされていたが、ブラジルと英国の研究者は25日、同市からの検体142件を解析した結果、12月は52・2%、1月は85・4%の患者がP1に感染していた事が確認されたと発表した。
 ブラジルの変異種研究は、科学技術省管轄下のコロナオミカ(Coronaomica)と、保健省が管轄し、4研究所からなるグループの二つで行われている。
 オズワルド・クルス財団(Fiocruz、前者に参加)では、各州からの検体(月10件ずつ)を解析していたが、P1確認後は検体数を月30~40件に増やすよう要請した。南部や南東部からの検体には変異が起きたものが多く、中西部からの検体では少ないという。アドルフォ・ルッツは後者に属している。

 Fiocruzによると、国外の研究機関の多くは感染や変異の有無解析用の反応薬などを自国調達できるが、ブラジルでは輸入に頼っており、為替変動などもあって、研究規模の拡大が困難だ。
 保健省がアプリで推奨している早期治療(tratamento precoce)には薬効が確認されてないクロロキンやアジロトミシナが含まれており、アプリに従ってこれらの薬を使った患者が重症化して病院に運び込まれていると現場の医師が警告する例も続いている。
 連邦会計検査院(TCU)は26日、国家衛生監督庁(Anvisa)や国際的な保健機関が承認していないクロロキンをSUS(統一医療保健システム)の資金で量産させた件で、保健相に説明を求めた。

マナウス市に増設された臨時病院(Ministerio da Saude)

 元保健相のマンデッタ、タイシの両氏は初期段階でのクロロキンの使用認可を拒否していたが、パズエロ氏は大統領の意向に従って、初期使用を認可していた。
 パズエロ保健相に関しては、マナウス市での患者急増などを知らされていながら必要な措置を取らなかった事や予防接種ワクチンの確保や配布での不手際などで、罷免要請が出ており、最高裁も捜査開始を認めた。
 連警は26日に捜査解禁を告げられたが、保健相は同日、アマゾナス州の患者1500人を他州に移送する意向を表明し、同州での患者急増は「誰も気づいていなかった」と釈明した。だが、同州の窮状は年末年始にも通達されていた。
 マナウス市では臨時病院も開設されたが、酸素不足問題が再燃中だ。同市では予防接種の割り込み問題で接種停止や関係者解雇が起きた上、26日にはワクチン配布停止命令も出た。