ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》下院議長選=大統領の介入でリラ氏有利に=役職や割当金を大盤振る舞い=マイア氏激怒、罷免の動きまで?

《ブラジル》下院議長選=大統領の介入でリラ氏有利に=役職や割当金を大盤振る舞い=マイア氏激怒、罷免の動きまで?

ボルソナロ大統領とリラ氏(Twitter)

 2月1日に行われる下院議長選で、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)の推すバレイア・ロッシ下議(民主運動・MDB)への支持を約束した政党にボルソナロ大統領が役職や議員割当金解放などを条件として出して謀反者を掘り起こしており、ボルソナロ大統領の推すアルトゥール・リラ下議(PP)が優位に立っている。これを受け、マイア議長とバレイア氏が大統領罷免に積極的に動くことを検討し始めていると、27~29日付伯字紙が報じている。
 下院議長選は当初、マイア議長が政党単位の支持を積極的に取り付けていたことから、バレイア氏が優位に展開しているように見えていた。これらの政党の議員全員が造反せずに支持すれば、過半数の256人を超える290票ほどの票を見込める状態だった。
 だが、これらの政党の中には最初から不透明なものが含まれていた。ひとつはボルソナロ大統領の前党の社会自由党(PSL)だ。同党は、党首のルシアノ・ビバール下議をはじめとする上層部がボルソナロ氏と対立している。だが、党員自体は熱心なボルソナロ支持者が多く、下議の中でもリラ氏への支持が圧倒的に多い。ビバール氏は当初、「裏切り者は追放」と息巻いていたが、22日に同党はバレイア氏への支持を取り下げた。
 このほか、マイア議長所属のDEMも、リラ氏支持が大半を占めるに至った。これにマイア議長は激怒し、26日にルイス・エドゥアルド・ラモス大統領府秘書室長官に対し、「議長選に連邦政府が介入するのはやめていただきたい」と抗議した。

 ラモス長官は介入を否定したが、ボルソナロ大統領自身が介入を肯定した。連邦政府は昨年の暮れから、役職や手当と引き換えにDEMやMDBの議員らにリラ氏への投票を呼びかけている。大統領はリラ氏への投票に協力する下議に四つの連邦政府の役職を準備しているという。その中の一つには農相がある。これはテレーザ・クリスチーナ現農相が大統領府内の政局調整役に回ることで空くものだという。
 大統領が提供しているのは役職だけではない。29日付エスタード紙によると、連邦政府は地域開発省予算の中から30億レアルをとりわけ、250人の下議と35人の上議が票田である地域での事業に投じることができるよう手配しているという。
 一部の議員は、議員割当金を利用した事業への資金提供は選挙戦とは無縁としているが、この時期のこうした動きは行政府による立法府への干渉として十分に考えられる。そのためマイア議長は大統領罷免審議を受け入れるよう考え直していると言われている。大統領の罷免請求はこれまでに60通以上、下院に届いているが、マイア議長は動いていなかった。バレイア氏も罷免の検討に前向きだという。
 これに対し、リラ氏や同じくボルソナロ大統領が推薦する次期上院議長の本命のロドリゴ・パシェコ上議(DEM)は、ボルソナロ氏に対して、フェイクニュース問題など、ボルソナロ陣営にとって不利な議会調査委員会(CPI)をつぶす約束をしたとも報じられている。