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ブラジルのコロナ対策は最悪=豪州機関の調査で最下位=米州保健機関も懸念示す

酸素を求めて長蛇の列を作る人々(マナウス市、28日付フォーリャ紙サイトの一部)

 豪州のシンクタンク、ローウィー研究所が28日、98カ国の新型コロナ対策を評価した結果、ブラジルは最下位だったと発表したと同日付現地紙サイトが報じた。
 今回の調査では、100人目の感染者確認から36週間の感染者数や死者数、100万人あたりの感染者や死者の数(感染率と死亡率)、1千人あたりのテストや検査実施率などを比較、評価した結果をまとめた。
 28日現在のブラジルの感染者は前日比6万1811人増の905万8687人で、感染率は100万人あたり4万3106人、死者は前日比1386人増の22万1547人で、死亡率は100万人あたり1054人だ。
 ブラジルの感染者は、2580万5522人に達した米国と1070万48人のインドに次ぐ3位。死者は43万3174人の米国に次ぐ2位だ。世界中の感染者は約1億150万人、死者も220万人に達する勢いだが、米国とブラジルの2カ国の感染者は全体の34%強、死者は全体の30%弱を占めている。
 ブラジルのボルソナロ大統領と米国のトランプ前大統領は大衆主義で、新型コロナは「単なる風邪」と軽視。マスク着用を嘲笑し、外出自粛や社会隔離に反対、本人も感染などの共通点がある。
 ブラジルでは年末から感染が再燃し、今月14日にはアマゾナス州で酸素不足による窒息死が起きるなど、医療崩壊が次々に表面化。予防接種キャンペーンでの不手際も連邦政府のコロナ対策の拙さを示し、大統領罷免を求める声が高まっている。

 同研究所によると、アジアや太平洋沿岸諸国の対策は比較的うまく機能している。欧州諸国は第1波は比較的うまく乗り切ったが、年末からは第2波で苦しんでいる。
 米州諸国は第1波終息前に第2波に突入。死者は100万人を超えた。米州諸国のコロナ対策を0~100で評価した平均点は33・8ポイント(P)で、域内の最低はブラジルの4・3P、最高はウルグアイの75・8P(世界12位)だ。
 地域別諸国の評価の平均はアフリカ・地中海地方49P、欧州51P、アジア・太平洋沿岸諸国58・2Pで、米州の評価は最低だ。
 国別の評価最良は思い切った社会隔離と水際対策で成果を上げたニュージーランドで、ベトナムやタイ、台湾も評価が高い。評価が低いのはブラジルや米国、イラン、コロンビア、メキシコなどだ。
 パンデミックの発生源とされる中国は、共産主義が民主主義に勝る事を見せようとしてデータを改ざんしていた疑いがあり、調査対象から外された。
 他方、米州保健機関のカリサ・エリエネ理事は27日、個人的な意見としつつ、ブラジルへの懸念を表明。マナウス市始め、複数の州で集中治療室の占有率が上昇している事やインフラの脆弱さ、医療機関の対応能力が限界に達している事などをその理由に挙げている。
 米州では、メキシコでの感染者急増、米国の複数の州やカナダの一部で対応能力を超えた事、カリブ海諸国での感染者増加にも懸念も表明。アルゼンチンやウルグアイは感染が減速化しており、チリでは隔離が困難な人用の住居提供などの対策も採っているという。