新型コロナウイルスの世界的な流行により、2020年のブラジルの基礎的財政収支は過去最大となる7431億レアルの赤字を計上した。この額は国内総生産(GDP)の1割に相当する。
1月28日に発表されたところによると、パンデミックによって生じた支出は、緊急支援金2931億レアル、州や市への支援782億レアル、融資などの保証581億レアル、時短・減給や一時帰休といった雇用維持策関連の支出335億レアル、その他611億レアルの計5240億レアルに上った。
20年は新型コロナのパンデミックに伴う「非常事態(カラミダーデ・プブリカ)宣言」により、予算に計上された赤字額上限を上回っても財政責任法に問われる事はない。
パンデミックによる外出自粛や社会的な距離確保などによる経済活動の落ち込みで、20年の歳入は前年比で13・1%減の1兆4700億レアルに止まった。
企業の減益や雇用の落ち込みは、国立社会保障院(INSS)の納付金の5・3%減額、自治体などからの負債返済が69%滞る、各種の入札で生じる収益が91%減るといった影響も生じさせた。
他方、歳出の方は、先に挙げた新型コロナ関連の支出だけで5240億レアルなど、2019年の実績にインフレ率を上乗せした額を31・1%も上回る1兆9500億レアルに達した。
これによって生じた赤字を埋め合わせるため、大量の国債を発行する必要も生じ、公的負債は74・3%も増加し、GDPの91%に達した。
それでも、7431億レアルの赤字という結果は、年末に政府が予想していた8318億レアルの赤字という額を887億レアル下回った。
赤字減額は、社会保障関連の支出が想定を70億レアル下回った事や各省庁が経費を節約した事、公共投資の減額、コロナ対策費の一部が2021年に持ち越されたなどによって生じた。
ただし、20年に行った事業の支払いの一部が21年に繰り越されるなどして、今年の会計にしわ寄せが生じるのは避けられない。
ブラジルの基礎的財政収支は、2013年に722億レアルの黒字を計上したのを最後に、赤字が続いている。赤字額は2016年をピークに少しずつ減少していたが、新型コロナのパンデミックによる歳入減と大幅な歳出増が20年の赤字を一気に増額させた。
21年は非常事態宣言を行っていないため、歳出増加をインフレ率以下に抑える上限規制が適用されるが、専門家の間では上限突破の可能性大との見方が広がっている。
政府の経済スタッフによると、ブラジルの基礎的財政収支が黒字に転じるのは2027年と予想されている。(1月29日付エスタード紙、同日付フォーリャ紙より)