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《ブラジル》ビルの壁に寄り添う夫婦の絵=家族への運転手の愛など表す

700平米の壁画の前で語り合うマリオ氏とカヴァルカンチ氏(3日付G1サイトの記事の一部)

 サンタカタリーナ州フロリアノポリス市中央部のテネンテ・シルヴェイラ大通り沿いのビルに、700平米に及ぶ大きな壁画が出現し、町中の話題となっている。
 黄色い背景に浮かぶのは、アプリケーションタクシー運転手のマリオ・マリアノ・デ・アシス氏(56)とその胸に身を任せ、ほほを寄せる妻エルザ氏だ。マリオ氏の胸元に描かれた解き放たれた窓の中には、彼らが愛してやまない孫達の顔も描かれている。
 話題となった壁画は、アプリケーションのタクシー会社がマリオ氏への顕彰のため、同州在住画家のグジエ・カヴァルカンチ氏(28)に依頼したものだ。同様の企画は全国の6州都で展開されているという。マリオ氏とエルザ氏の絵は、州議で教師のアントニエタ・デ・バロス氏の絵と向き合うように描かれた。
 カヴァルカンチ氏は、どんな絵にするかを決めるため、マリオ氏と直接会ってその生涯について訊ねたという。結婚後の36年間は、家庭を築き、家族を養うための苦闘の毎日だったと語るマリオ氏と、そばで聞き耳を立てていたエルザ氏がごく自然に寄り添い、夫の胸に頭を置くのを見て、その光景を描く事にした。もちろん、家族への愛情は、胸に描かれた解き放たれた窓とその中に描かれた孫達の姿によっても表されている。

 「会社の人が、『お前のやっている事は大切な事だ』といって抱擁してくれたんだ。とても驚いたけど、その事が、幸福は小さな日常の事の中にあると教えてくれた」とマリオ氏は言う。
 プロジェクト開始が決まったのは昨年の12月4日で、カヴァルカンチ氏がマリオ氏達と会ったのはその翌日だ。
 落成式は1カ月後の1月5日。カヴァルカンチ氏にとってこの絵は、マリオ氏達の愛の歴史を刻むものであると同時に、人種差別や男性至上主義と戦うためのものでもある。「自尊心や幸福感、愛情を表した壁画と、その壁画に男性が描かれている事は、とても大切な意味を持っている」と同氏は言う。(3日付G1サイトより)