ブラジル鉱物院(Ibram)が2日、2020年の鉱業界の収益は2019年比で36%増え、2090億レアルに達したと発表した。収益増加は第4四半期の好調が後押しした。第4四半期の収益は830億レアルで、前期を63・6%上回った。収益増が著しいのは鉱業生産が盛んなパラー州とミナス州で、第4四半期の収益はパラー州が97%、ミナス州が55%増えた。
種類別に見ると、鉄鉱石が前年比39%増の1387億レアル、金が前年比76%増の232憶レアルとなり、業界をけん引した。ただし、年間生産量は収益ほど伸びておらず、9億8500万トンだった19年を2400万トン上回る10億900万トンだった。
同様に、輸出量は前年比2%増に止まったが、輸出額は11%増の370億ドルに達した。中国は鉱物輸出でもその存在感を増しており、鉱物輸出におけるシェアは、19年より10%ポイント増の72%となった。
Ibramでは、昨年の生産量はさほど伸びていないのに、収益は大幅に伸びた原因は、国際価格の上昇とドル高と考えている。ブラジルがオーストラリアに次ぐ産出量を誇っている鉄鉱石は、国際価格が年間60%上昇し、1トン155・84ドルに達した。
国際価格の上昇は新型コロナのパンデミックの影響を受けたもので、中国がコロナ感染症患者用の大型病院を建設した事などで鉄鉱石価格が急騰した。不況時も価値が変わりにくい金への関心も高まった。
輸出鉱物の中には、ニオブの33%減やアルミの36%減、マンガンの17%減のように、取扱量が大幅に減ったものもある。ニオブの輸出は石油・天然ガス部門や自動車製造部門などとの関係が深く、欧米や韓国、日本といった国からの需要減が輸出減少を招いた。
また、ドルは年間を通じて24%も上昇しており、レアル貨に換算した場合は大きな差を生む。
他方、収益が増えた事で納税額も増えた。一例は鉱物生産のロイヤルティと呼ばれる鉱物資源開発負担金(CFEM)で、前年比で35%増の61億レアルに達した。CFEMの額は第2四半期こそ減ったが、それ以外は順調に伸びた。それ以外の税収も計662億レアル増えたという。
Ibramによると、2018年から2020年のCFEMは30億レアルから61億レアルにと100%以上増額しており、パラー州パラウアペバス市は10億レアル近いロイヤルティを受け取った。これは、2017年に行われた徴収率の変更によるものだ。
Ibramでは、ロイヤルティの恩恵を受けている自治体に用途を十分に考慮するよう勧めている。その一つは、鉱滓ダム解体に向けた投資だ。ミナス州では2015年と19年に、ダム決壊事故で甚大な被害が出た。Ibramでは20~24年に380億レアルの投資をと考えており、内22億レアルをダム解体や鉱滓の再利用などに投ずる意向だ。(2日付アジェンシア・ブラジルより)