汚職捜査を受ける側が多いセントロン(連邦議員中道派)が推す両院新議長が1日に就任した直後、連邦検察庁は3日、パラナ州支部に設けられていたラヴァ・ジャット(LJ)作戦特捜班を2月1日付で解体したことを明らかにした。ブラジル史上最大級の犯罪捜査の捜査班は7年足らずで幕を閉じることになった。4日付現地紙が報じている。
パラナ州の同特捜班の活動が表舞台に現れたのは2014年3月で、石油公社ペトロブラスを舞台とした贈収賄工作をはじめとして、全79回に及ぶ作戦を展開。
その間、1450件に及ぶ家宅捜査令状、295件の逮捕令状、130件の告発が行われた。同特捜班はペトロブラスをはじめ、オデブレヒトやOASといった国内を代表する建築大手の役員や、セルジオ・カブラル元リオ州知事、エドゥアルド・クーニャ元下院議長(共に民主運動・MDB)といった大物政治家からも多くの有罪判決と逮捕者を生んだ。
LJ特捜班はその後、リオ州とサンパウロ州でも設けられ、リオ州では56件、サンパウロ州では9件の告発が行われた。パラナ州特捜班の捜査では43億レアル、リオ州の捜査でも10億9千万レアルが公庫に返却されている。
だが、ルーラ元大統領(労働者党・PT)の有罪と刑執行、テメル元大統領(MDB)に捜査が及んだことなどで、政界や支持者からの反発が強くなっていた。
それに輪をかけたのは、2019年6月に、LJ担当判事だったセルジオ・モロ法相(当時)とデルタン・ダラグノル前LJ主任らの携帯電話がハッキングされ、その内容がサイト「ジ・インターセプト」で報じられたことだ。「ヴァザ・ジャット(VJ)報道」と呼ばれ、検察と判事の癒着関係や、モロ氏の政治的な志向性で捜査対象を決めていた疑惑などが暴露され、これまでの信頼を喪失。
ボルソナロ大統領から19年9月に連邦検察庁長官へと大抜擢されたアウグスト・アラス氏が、「超えてはならぬ一線がある」としてLJをたびたび批判。LJ特捜班の立場は危うくなっていた。
連邦検察庁は昨年12月に、パラナ州とリオ州のLJ班の存続を21年11月まで延長すると発表していたが、急きょ予定が変わった。その背景には、VJ報道の大元となった携帯電話のハッキング内容の全ての公開が、最高裁によって1日に了承されたことなどがある。
これにより、15人いた捜査班のうち5人が組織犯罪対策特別班(Gaeco)に配置換え。残り10人も他部署に配置換えとなった。