ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》マイア前下院議長がDEM離党へ=議長選での造反に怒りPSDB移籍か=政権に急接近のACM党首

《ブラジル》マイア前下院議長がDEM離党へ=議長選での造反に怒りPSDB移籍か=政権に急接近のACM党首

マイア氏(Marcelo Camargo)

 1日に行われた下院議長選をめぐる民主党(DEM)内の造反が、ロドリゴ・マイア前下院議長の離党騒ぎに発展している。背後には、DEM党首のACMネット氏のボルソナロ政権への急接近があると見られている。8、9日付現地紙が報じている。
 カルドーゾ大統領時代、民主社会党(PSDB)政権最大の協力政党として知られていたDEMは、2011年に社会民主党(PSD)が分裂して以降、党としての勢いを失っていた。
 だが、エドゥアルド・クーニャ氏失墜で2016年に下院議長に就任したマイア氏が、テメル政権下でも下院議長をつとめて注目を浴びて以降、党としての勢いを取り戻し、今日まで2人の上院議長を生んだ他、ボルソナロ政権にも多くの閣僚を輩出するに至っている。
 だが、その立役者とも言えるマイア氏がDEMを離党せざるを得ない状況に追い込まれている。その理由は、2月1日に行われた下院議長選で、同氏が推したバレイア・ロッシ氏(民主運動・MDB)がボルソナロ大統領が推したアルトゥール・リラ氏(進歩党・PP)に惨敗したこと、そしてDEM下議の大半がバレイア氏でなく、リラ氏を推す裏切り行為を行ったことだ。
 その背景には、党首のACMネット氏のボルソナロ政権への接近があると言われている。DEMはボルソナロ政権に大臣を輩出しているものの、今日まで中立の立場を保っている。
 だが、ダヴィ・アルコルンブレ前上院議長(DEM)がボルソナロ氏との関係がうまくいったことで、同党上議たちの間でボルソナロ政権になびく傾向が生まれ、それに下院も続いてしまった。さらに、下院議長選でボルソナロ政権が議員割当金とともに大臣職を報奨のひとつとしてちらつかせたため、それが強まってしまい、そこにACMネット氏も乗ったと見られている。

 それを象徴する動きもすでに起こっている。ボルソナロ氏の友人ということで入閣したDEMのオニキス・ロレンゾーニ氏は2月の閣僚改変で大統領府総務室長官に就任する見込みで、オニキス氏が現在つとめている市民相の後釜に、ACMネット氏の長年の友人であるジョアン・ロマ下議(共和者・RP)の名前が挙がっている。
 市民相は議長選のためにボルソナロ大統領が提示していた役職の一つで、ロマ下議指名は「ACMネット氏の推薦によるものではないか」との憶測を呼んでいる。市民相は、22年の大統領選を狙うボルソナロ氏が北部や北東部の票田を確保するのに欠かせない、生活扶助(ボルサ・ファミリア)やコロナ禍に伴う緊急支援金などを扱う省庁だ。大統領は今週中にも新たな緊急支援金支給に関する方針を示す必要がある。
 さらに、本人は否定しているものの、ACMネット氏自身にも22年大統領選でのボルソナロ氏の副大統領候補説があがり始めた。別の説では、ACMネット氏を知事に推し、テレーザ・クリスチーナ農相を副候補にとの噂も出ている。ACMネット氏も最近、「22年の大統領選でのボルソナロ氏支持はあり得る」と語り始めている。
 一方、マイア氏はDEMを、「80年代のような極右政党に戻ってしまった」と強く批判した。DEMの母体は軍事政権の独裁政党、国家革新同盟(ARENA)だ。
 そんなマイア氏に、22年大統領選でボルソナロ氏と争うことが確実視されているジョアン・ドリア・サンパウロ州知事(PSDB)が早速声をかけ、7日に会談。PSDB入りを勧めている。ドリア氏は副知事のロドリゴ・ガルシア氏にも、DEMを抜けてPSDBに加入するよう呼びかけている。