《ブラジル》今度は医師達が罷免要請=命を脅かすコロナ対策で=マナウスでの対応でも捜査

医師や科学者が9日、ボルソナロ大統領が採った新型コロナ対策が国民の命を危険にさらし、経済的な損失も招いたとして責任を問い、罷免を求める要請を下院に提出したと8日付現地サイトが報じた。
医師や科学者が提出したリストには昨年3月~今年1月20日の大統領の言動や現政権の対応が列記されており、新型コロナの犠牲者数増加についてコメントを求められ、「私は墓掘り人夫ではない」と答えた件や、新型コロナ感染症の影響を過小評価し、社会隔離の必要を否定した件なども含まれている。
医師達は、「大統領は役職や政治的な権力を利用し、世界中が認めている公共衛生上の方策の効果を否定し、自らが命を守るべき国民を正しい方向に導く事を怠った」としている。
また「否定主義によって役職やブラジルへの信頼性を損ない、大勢の国民の命を失うという計り知れない損失を生み、健康面から経済面に至る損害を与えた」とも主張した。
罷免要請には、医師で弁護士、サンパウロ総合大学の公共衛生に関する権利に関する調査員でもあるダニエル・デ・アラウジョ・ドウラド氏や、オズワルド・クルス財団(Fiocruz)元理事のエロアン・ドス・サントス・ピニェイロ氏らが名前を連ねている。
大統領や保健省がコロナ禍の中で採った対応については、アマゾナス州マナウス市での医療崩壊後、連邦検察庁や連邦警察、連邦議会などが具体的な捜査を始めた。大統領への事情聴取はまだだが、パズエロ保健相は4日に連警でマナウス市での医療崩壊に関する供述を行った。上院も同日、接種問題も含め、保健相に質問する事を決めた。
保健省は先日、効用が証明されていないクロロキンやイヴェルメクチーナの使用を勧めていたコロナ感染症に関するオリエンテーションアプリを削除。現場の医師は、自己投薬で病状が悪化・複雑化してから受診する例増加と警告していた。イヴェルメクチーナの製造会社は5日、同病への有効性を示す証拠はない事を認めている。
大統領はパンデミック初期からクロロキンの使用を勧め、マンデッタ、タイシ両氏の保健相辞任を招いた後、現保健相に軽症者からの薬使用や統一医療保健システム(SUS)での使用、大衆薬局(FAEMACIA POPULAR)での配布を認めさせた。
6、7日付メディアは大統領が保健省など5省と1公社、陸・空軍を動員してクロロキンの増産や配布を行わせた事を報道。また、医療崩壊が起きたマナウス市に保健省がこれらの薬の使用を勧めたとされる件については、連邦会計検査院(TCU)が8日、使用が強要されたかを10日以内に回答するよう、同市保健局に命じた。
連邦政府は昨年、議員割当金から支出できたはずの3700万レアルを使わず、返却もしないという失態も演じた。コロナ対策の非効率性、公金使用の在り方などの責任を問う声が続きそうだ。
1月26日にはキリスト教界関係者380人が罷免要請提出など、罷免要請は60件を超えている。要請受理や罷免手続き開始は下院議長が判断するが、フクス最高裁長官は現状での罷免は混乱を招くと警告している。