ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》中銀独立案が可決、権限強化へ=連邦政府に左右されない存在に

《ブラジル》中銀独立案が可決、権限強化へ=連邦政府に左右されない存在に

 下院で10日、中央銀行の独立性を認める法案が賛成多数で承認された。この法案が成立すると、総裁や理事などの任期が大統領の任期に左右されなくなるなどの違いが出てくる。10、11日付現地紙、サイトが報じている。
 経済省関係者も推奨している法案は、10日に行われた投票の結果、339票対114票と圧倒的大差で認められた。反対していたのは主に左派政党だった。
 同法案は昨年の11月に上院で承認を受けていたものだ。同法案の承認は、ボルソナロ大統領が2日にロドリゴ・パシェコ、アルトゥール・リラ上下院新議長と会談を行った際に、「優先的に審議を進めてほしい項目」のひとつに含めていた。中銀の独立性は、ブラジルでも1991年から論じられ続けている問題でもある。
 今回の法案が実際に法制化されると、連邦政府の方針に左右されず、自分たちの意向で中銀を運営できるようになる。
 たとえば、現状では大統領が就任年に総裁や理事を選び、上院の口頭試問(サバチーナ)を経て承認されれば、大統領と同じ4年の任期で役職をつとめることになっている。

 だが、改正法案に基づくと、理事は毎年2人ずつが改選される。理事の任期は4年で、任期中に大統領が代わっても継続して任期をつとめる。
 総裁も大統領の就任3年目の1月1日からの4年間が任期となり、大統領の3年目と4年目、次の大統領(再選の場合は次の任期)の1年目と2年目が任期となる。
 総裁や理事は、1回に限り再選が可能で、再選された場合は、さらに4年間で計8年間、任期をつとめることになる。
 これら総裁や理事の任期半ばでの交代は、本人が辞表を出す場合や病気、内部からの告発や国家通貨審議会(CMN)が辞任を求めたときのみとなる。こうすることによって、彼らが経済基本金利(Selic)やインフレ対策などで不適切だと連邦政府から判断されて解任されることを防ぐことができる。
 その代わり、中銀総裁は毎年、上半期と下半期に1回ずつ、上院に対してインフレの状況や財政安定策に関する説明を行うことが義務付けられる。
 現在の中銀は経済省とのつながりがあるが、法案が正式に採用されれば、連邦政府からは独立する形になる。