さてブラジルは今、政界が昨年末の地方選挙と2月早々の下院と上院の議長選の結果をふまえて、2022年大統領選に向けた態勢作りを活発している。年初に感染拡大と景気鈍化の兆しを示して、経済は政府の新たな緊急支援策の発動を待ち望んでいる。
どのような金融資産が良い利回りを期待できるか考えるため、幾つかの要件をきちんと整理しておかねばならない。
(1)国内の主要なリスク
市場が最も警戒しているリスクは財政問題だ。財政健全化は構造改革を要するため、政治動向と政府の国会対策が鍵になる。
短期的に、利上げが射程内に入って、その時期を決めるインフレ動向が注目を集める。それに影響する為替と原油の相場を注視していく。
景気と雇用はワクチン接種の規模と速度に強く影響されるため、景気労働指数に加えて、国内のワクチン接種の進展も市場の関心を呼ぶ。
(2)国外の主要なリスク
世界経済の回復は基本的にワクチン接種の普及に依存し、ワクチン接種拡大によるコロナ禍の鎮静に左右される。鎮静が遅れるほど、経済回復が鈍って、ゼロ金利が長引いて弊害が拡散して株価バブル破裂の危険性が高まる。
他に特に貿易だが、米中間の摩擦は市場の機嫌を左右し続ける。
(3)2021年マクロ経済の観測(2月5日付Focus)
GDPの3・47%と鉱工業生産の5・0%成長、IPCA(インフレ)の3・66%、年末にドル相場R$5・01と3・5%のSelic金利。インフレ(12カ月計)は1月の4・56%から、ドル相場(2月9日現在R$5・38)も下がる観測だ。
このような平均的観測は、国内で財政面での観測悪化、米中貿易戦争の悪化、原油市場での急変などを考慮していない。
(4)今年の利回り上位は株式投資
Selic金利が今の2%からいつ、どの速度で上がり始めるか不透明だが、平均的観測は年末に3・5%であり、年間利回りがIPCA以下で終わることは確実だ。今年におそらく実質利回りマイナスを繰り返す。世界的だけでなく、国内でも誰もかれも株式投資に向かっている。その動きが株価上昇を支え、なおしばらく継続しそうだ。
(5)ドル相場はどうなり、外貨建て資産は投資対象か
ブラジルでも金融市場の国際化が進み、欧米の株式などを含めて外貨建て資産を選択できる。金やビットコインにも運用できる。このような資産は為替不安が高まるほど、先物取引などの為替ヘッジ手段とともに資産保全手段として欠かせない。
サンパウロ証券取引所(B3)取引での外国投資収支は昨年第4四半期から入超になっても、他の金融取引を含む中銀の為替収支は昨年11月を例外に一貫して出超だったが、今年1月に入超を記録した。行き場を失った国際流動性の一部がブラジル経済にも流れ始めたようだ。
そのような流れが続く、強まるならば、平均的観測のようなドル相場が年末に現実化するかもしれない。そのシナリオでは、外貨建て資産向け投資は時期尚早と見られる。ただし市場は財政問題に非常に敏感だから、流れはいつ反転するかもしれない。
(6)頭は使うほど健全性を保持できるなら、自分でそれぞれのリスクを検証し、投資先を決めて運用してはどうですか
その成果を確認して指数と比較するため、それに必要な指数とデータをきちんと毎日収集することを日課とせねばなりません。早速、始めてはどうですか。指数データの収集や整理にパソコンを使うなら、それも頭の体操になります。