エドゥアルド・パズエロ保健相は11日、上院の公聴会で保健省のコロナ対策に関する説明を行った。アマゾナス州マナウス市での医療崩壊の責任を問う議会調査委員会(CPI)の結成が噂される中、パズエロ氏は前言を覆して、「医療崩壊の実情は知らされてなかった」と説明。これがかえって反発を強める結果となった。同相はさらに、今後のワクチン接種に関する保健省の見通しなどについても話した。12日付現地紙が報じている。
上院はこの日、パズエロ保健相を緊迫感を持って迎えた。同保健相とボルソナロ大統領に対しては、マナウス市の病院での酸素欠乏とそれによる窒息死発生に及ぶほどの医療崩壊を招いた責任を問う世論が非常に強く、連邦議会内でCPI開設への準備が進んでいる上、最悪の場合には同相の更迭や大統領罷免審議の可能性も囁かれていたためだ。
そうした空気を避けようとしたためか、パズエロ保健相は今回の報告で、「1月はじめの時点ではマナウスで酸素不足が起きていたことは保健省には知らされていなかった」と語った。
これは同相が1月18日の記者会見で語ったことと矛盾している。パズエロ氏はそのとき、連邦大学附属病院などで医療崩壊が起こった1月14日からさかのぼること6日の1月8日に「酸素が足りなくなるかもしれない、という報告を受けていた」と認めていた。だが、今回はそれを「知らなかった」として、「保健省としては手の打ちようがなかった」と言い訳した。
この発言は上議たちの反感を招き、数々の反論が起こった。特にアマゾナス州選出のエドゥアルド・ブラガ上議(民主運動・MDB)は、「昨年12月、私はあなたに直接、アマゾナス州の医療が危機にあることを伝えたはずだ。不測の事態だったなどとは言わせない」と厳しく言い寄り、保健相が答えに窮した。
ファビアーノ・コントラト上議(REDE)はさらに、「あなた(パズエロ保健相)とボルソナロ大統領は大量殺人で起訴されることになるだろう」と強い剣幕で迫った。
パズエロ氏は上議のこれらの反応を前に、「今は対立すべきときではない。第二次世界大戦のときに連合国が一致団結してドイツを倒したように、国民みんながコロナという共通の敵に対して戦うべきだ」という軍人らしい例を出して対立を避けようとするのがやっとだった。
パズエロ氏は、「マナウスでの50歳以上へのワクチン接種開始」や「年末までに全国民へのワクチン接種を終わらせる」「ラテン・アメリカ諸国にワクチンを支給していけるようになりたい」などと、ワクチン計画に積極的なところをアピールした。
だが、この席でパズエロ氏は、ボルソナロ大統領を擁護することを避けた形にもなっている。
これらの説明後、ロドリゴ・パシェコ上院議長は、パズエロ氏、ボルソナロ氏によるコロナ対策に関するCPIを開設するか否かを審議する準備に入っている。