前陸軍総司令官のエドゥアルド・ヴィラス・ボアス氏が、最近出版した著書の中で、2018年のルーラ元大統領の服役を問う裁判の直前に同氏が行ったツイートが「軍の上層部で共同作文されたものだった」と発言し物議を醸している。11日付現地紙、サイトが報じている。
これは先日、ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)出版から発売された談話集『ヴィラス・ボアス将軍〜司令官との会話』の中で明らかにされたもの。
ヴィラス・ボアス氏は陸軍総司令官だった2018年4月3日、サンパウロ州グアルジャーの高級三層住宅を介した贈収賄容疑で2審でも有罪となったルーラ氏に対し、刑執行か、人身保護令適用かを最高裁が審理する前日、自身のアカウントから大きな波紋を広げたツイートを行った。
いわく「ブラジル陸軍はすべての善良な国民と心情を一つとしており、犯罪者が罪に問われないこと(刑の免除)に怒り、憲法の遵守と社会の平和、民主主義を願っている」「国のため、国民のために任務を遂行することを願う」というもの。この、あたかも軍が三権の上の立場にあり、ルーラ氏に実刑判決が下されないと、軍事政権が戻ってくるかのような表現で最高裁を脅す行為は、当時、強い批判を浴びた。
だが、ヴィラス・ボアス氏は今回の手記で、「あの文章は私のスタッフと軍の高官たちによって書かれた文章だ。草稿ができた翌日には司令官たちにも見せ、さらに推敲を重ねた末、(18年4月3日の)午後8時に投稿した」と語った。
同氏は軍が当時、このような行動に至った経緯に関して「(ルーラ氏が刑を逃れれば)軍の一部から軍事介入を求める声が強まる可能性があったため」だと語った。
ヴィラス・ボアス氏はさらに、これは労働者党(PT)政権の成立を阻止しようとしたものではなく、「フェルナンド・ハダジ氏が大統領に当選していたら軍はそれに従うつもりだった」とも語っている。
この暴露は、マスコミを中心に多くの人を驚かせた。それは問題のツイートが当時、「ヴィラス・ボアス氏個人の意見」と思われていたためだ。このため、ジャーナリストの間では「18年のルーラ氏の大統領選出馬失格は軍を介入させてのクーデターだったのではないか」とする論調も目立っている。ルーラ氏は18年4月の刑執行開始後も、8月に最高裁で正式な出馬無効の判決が出るまで、世論調査で支持率1位だった。