最高裁のリカルド・レヴァンドウスキー判事は15日、連邦検察庁が提出していたエドゥアルド・パズエロ保健相に対する捜査要請を認め、連邦警察による捜査開始を承認した。同保健相はアマゾナス州マナウス市での医療崩壊の実態を知りつつ、対応を怠り、1月14日には酸素不足による患者の窒息死なども引き起こしたとして責任を追及されている。15、16日付現地紙、サイトが報じている。
レヴァンドウスキー判事の捜査開始命令は、連邦検察庁からの要請に応えたもの。これによって、保健相がマナウスの医療崩壊にどの程度関与し、責任を問われるべきか否かに関する捜査を連邦警察が行うことになった。これにより、保健省やマナウス市保健局関係者の証言をとることになった。
パズエロ氏は4日、連警でマナウス市での医療崩壊に関する事情聴取を受けている。11日には上院の公聴会で、マナウス市での医療崩壊の実態については「事前の情報を得ていなかった」とし、酸素不足やそれに伴う窒息死の発生は「不測の事態だった」との言い訳した。
だが今回、検察庁が依頼していた「保健庁とマナウス市保健局との間のメール」「病院への酸素供給企業、ホワイト・マルティンス関係者の証言」「マナウス市への酸素の輸送状況や、マナウスの病院からブラジル病院サービス公社が運営する連邦病院へ患者を移送したときの状況」「(クロロキンなどを使った感染初期の治療情報を流していたとされる)アプリ「トラテCOVの実態」「クロロキン、ヒドロキシクロロキンやPCR検査のキットなどの購買実数や配布状況とその費用」「会議に参加したり、訪問を受けたりした保健省、アマゾナス州保健局、マナウス市保健局の関係者の証言」をとることが可能になる。
最高裁は1月に連邦検察庁に対し、アマゾナス州やマナウス市での医療崩壊に関し、保健相に対する捜査をはじめることを許可していた。その結果、マナウス市では昨年のクリスマスの週には入院患者が急増していたにもかかわらず、保健省が具体的に対策に動いたのが1月3日であったことや、1月8日にはマナウス市の医療現場が酸素不足に陥っていることが、供給会社から保健省に伝えられていたことがわかっている。この件はパズエロ氏自身が1月20日にいったん認めていたが、上院の公聴会での証言では急転して否定している。
さらに、1月14日の医療崩壊の頃、保健省がアマゾナス州に送ったPCRテストのキットとほぼ同量のクロロキン、ヒドロキシクロロキンを送っていたことも明らかとなっていた。この薬品は、かねてからボルソナロ大統領が治療薬として推薦していたものだが、医学的にはコロナに効用はないとされている。
だが、保健省の高官たちが2020年にワッツアップで行った会話では、コロナワクチンの効用を軽視し、クロロキンを推奨する意向であったことがすでに報じられている。
連邦検察庁はアマゾナス州での医療崩壊と同時に、ブラジル全体でのコロナ対策におけるパスエロ保健相の対応についても予備捜査を開始している。