【既報関連】16日夜に最高裁への威嚇行為などで現行犯逮捕されたボルソナロ大統領支持派のダニエル・シルヴェイラ下議(社会自由党・PSL)に関し、最高裁が17日に同下議の勾留期間に関する全体審理を行い、満場一致で延長という厳しい処分を下した。今後の処遇は下院に任されるが、下院の中でも同下議への風当たりはかなり強くなっており、大統領にとっては頭の痛い展開となっている。17、18日付現地紙、サイトが報じている。
17日の審理は、シルヴェイラ氏に逮捕命令を出したアレッシャンドレ・デ・モラエス判事を報告管として行われた。同判事は「反連邦議会・反最高裁」の反民主主義的行為、フェイクニュースの二つの連邦警察の捜査に関する最高裁内の担当者で、シルヴェイラ氏はそれらの捜査ですでに捜査対象となっていた。
審理では、モラエス判事の主張に最高裁の全判事が賛成した。それは、ボルソナロ大統領に指名され、同大統領に有利な判断を下すことが目立っていたカシオ・マルケス判事も同様で、審理そのものもわずか45分で終わった。
モラエス判事はこの審理の中で、16日の動画投稿や先の2件の捜査に関してだけでなく、2018年10月に起きた、同年3月に射殺されたマリエレ・フランコ元リオ市議の記念のプレートを叩き割ったことを皮切りに、今日まで続く問題行為の数々を指摘した。
他の判事たちも怒り心頭で、アウレーリオ・メロ判事は「74年生きてきたが、最高裁がこんなひどい言われ方をするのを聞くとは思わなかった」と語り、エジソン・ファキン判事は「ヴィラス・ボアス氏は私の反論を3年も前のことだとして侮辱した」と、シルヴェイラ氏が擁護しようとした元陸軍総司令官の言動も批判した。
シルヴェイラ氏の勾留に関しては下院でも審議されるが、アルトゥール・リラ下院議長は18日朝、「下院でのシルヴェイラ氏の立場は不利だ」とボルソナロ大統領に報告し、勾留延長が避けられないことを伝えた。同議長はシルヴェイラ氏の勾留を早期に解いた場合、緊急支援金をはじめとする経済に関する法案や各種の改革に関する審議が遅れる可能性も示唆している。
下院の保守派などは17日に、ネットを中心にシルヴェイラ氏の釈放や最高裁批判などを展開しているが、形勢が苦しいことは否定できない。労働者党(PT)、社会民主党(PSD)など6党は17日に同下議の議席はく奪を倫理委員会に要請しており、PSLも同日、シルヴェイラ氏を党から追放する意向を表明している。
他方、ボルソナロ大統領はこの問題に関して沈黙を守り続けている。連邦政府はこの事件が現政権に悪影響を与えることを恐れていると言われており、大統領の側近たちも、最高裁や連邦議会との対立要素を増やさぬため、黙っているよう助言しているという。ボルソナロ一家でも、シルヴェイラ氏を擁護する発言を行っているのは三男のエドゥアルド下議(PSL)のみとなっている。
なお、連邦検察庁は17日、昨年4月に始まった反民主主義的行為に関する捜査に基づき、同下議を起訴。今回の現行犯逮捕に関しても、下院が逮捕は不当との判断を下した場合や人身保護令適用となった場合は、電子足環をはめ、下院に行く以外は自宅軟禁とすることも求めている。