ボルソナロ大統領は23日、電力公社エレトロブラス民営化のための暫定令(MP)を上下両院議長に手渡した。石油公社ペトロブラスへの介入が社会的に物議を醸している最中での行為は、ペトロブラス総裁指名と共に語った「まだ変わる」との言葉の具体例だ。大統領は前日も、電気代値上げの報道に反発し、電力会社などへの不満を漏らしていた。23、24日付現地紙、サイトが報じている。
このMPの提出は、大統領自らが議会に足を運んで行われた。ベント・アルブケルケ鉱山動力相、パウロ・ゲデス経済相を同伴して到着した大統領を出迎えたのは、アルトゥール・リラ下院議長とロドリゴ・パシェコ上院議長で、大統領の短い演説の後、MPを受け取った。
「これは連邦政府が連邦議会を尊重していることを示すデモンストレーションだ」と、パシェコ上院議長はMP提出をイベント風にした理由を語っている。
連邦政府の特別官報によると、「社会経済開発銀行(BNDES)はただちにエレトロブラスの民営化に関する研究をはじめる」となっている。この暫定令は、エレトロブラスが統括する電力システム全体の変革などを含むものだ。同公社は国内に設けられた施設の発電容量の3分の1、国内の送電線のほぼ半分を保有している。
民営化の対象はエレトロブラスだけでなく、その傘下にある原子力公社のエレトロヌクレアールや、パラグアイと共同運営のイタイプ・ダム運営公社も含めるという。
「エレトロブラスの民営化は、経済成長をとり戻すために不可欠な第一歩だ」と、アルブケルケ鉱山動力相は会見で強く主張した。
この件に関しては、リラ下院議長も以前、「エレトロブラスは投資家達にとって目玉の特待株になる」と発言して期待を寄せており、「ただちに審議したい。電力公社と郵便局の民営化に関してはすでに充分討議されており、期も熟している」と早期承認に自信を見せている。
だが、この発表はボルソナロ氏がガソリンの値上げをめぐってペトロブラスのカステロ・ブランコ総裁を強引に更迭しようとし、同公社の株を20%以上も下げた直後の行為であったことから、不安視する声も小さくない。同石油公社の株価が大暴落した22日は、政府が他公社にも介入するのではとの不安から、エレトロブラスの株も下がっていた。
ロドリゴ・マイア前下院議長は「このタイミングでエレトロブラスを民営化すれば、事態はさらに面倒なことになる」として今回のMP提出を批判している。
公社民営化の推進者であるはずのゲデス経済相は、この会見では何も語らなかった。