コロナ対策の一環としての2021年度の緊急支援金の支給に関する緊急の憲法改正法案(PEC)の上院での投票が遅れている。その理由は、支給される期間と額で折り合いがつかないためだ。上院では具体案を後から承認させる分割承認を行おうとしているが、経済省の強い反発を受けていると、24、25日付現地紙、サイトが報じている。
ロドリゴ・パシェコ上院議長(民主党・DEM)は22日、21年度の緊急支援金に関する緊急PECに関して「3月から支給を開始させたい」との意向を示していた。
同議長がそのときに語ったところによると、今回の案件は緊急PECとして扱うため、下院での承認がなくても効力を発するもので、「上院で承認され次第、連邦政府は支給を開始する必要がある」との見解を示した。
だが、パシェコ上院議長はこのとき、支給される額や期間については言及しなかった。同議長は「最低でも4カ月間は必要との共通認識を持っている」と語り、緊急支援金の必要性については連邦政府と合意ができているとの見解を示した。この点に関しては、同PECの報告官をつとめるマルシオ・ビッタル上議(民主運動・MDB)も同様の見解だった。
だが、パシェコ上院議長は24日、緊急支援金のPECに関し「当初の予定どおり、25日から上院の全体審議にかける」としたものの、「今週は話し合いのみになる」として当初予定されていた今週中の承認が、来週にずれこむとの見解を示した。
さらにパシェコ議長は、承認に関しても「とりあえず緊急支援金は今年も実施するという法案を先に承認させて、具体的な内容は後から承認を行う」という分割承認案の手法をとることを示唆している。
この背景には、支給額、支給期間のアイデアが各政党、社会団体によって異なることや、教育や保健衛生に関する投資に関する予算と歳出上限法との関係が明らかにされていないことがある。上院本会議では23、24日の両日もPECに関する質問が相次ぐなど、総意がとれておらず、政党リーダーたちは25日午後、緊急PECの承認の先延ばしを決めた。
24日に示された分割承認という方法に対しは、経済省はすでに強い拒否反応を示している。それは、あらかじめ支援金の総額の目安を決めないと、年間の財政支出の上限をずるずると破り続けることになりかねないためだ。20年のときと異なり、21年は緊急事態(カラミダーデ)宣言を行っていないため、緊急支援金の資金繰りで苦戦すると早くから予想されていた。
一部の報道によると、緊急PECの原案には、昨年同様、緊急支援金を通常会計から切り離すための「戦争予算(Orçamento de Guerra)」と酷似した項目も含まれているという。
また、経済省の意向に同調するように、アルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)も、「上院が分割承認にするなら、下院ではこの件に関する投票は行わない」として、パシェコ議長の意向に反対している。
支援金の支給額や支払期間は上院の中で統一を見ていない。その一例として、シドニー・レイテ上議(社会民主党・PSD)が「毎月300レアルを12回支払い」の提案を行おうとしているなどと報じられている。