「ついに“12強時代”は終わってしまうんだな」。今季のサッカー全国選手権を終えるにあたり、コラム子はそう思わずにはいられない。
来季の全国選手権2部にはすでにクルゼイロがいて、現在1部最下位のボタフォゴが降格して名前を連ねることが確実視されており、そこにヴァスコ・ダ・ガマが加わる公算が高まっているからだ。
ヴァスコに関しては25日の最終戦で勝てば勝ち点で16位のチームに並ぶ可能性はある。だが、1試合で7点も差がある得失点差を逆転するのは、余程のことがない限り困難だから、居残りはかなり難しい。
クルゼイロ、ボタフォゴ、ヴァスコ。いずれもサッカー史に残る名選手を多く輩出したことで有名で、いずれも全国選手権の制覇経験があり、クルゼイロとヴァスコに至っては南米一の経験さえある。そんな名門がこぞってこの苦境だ。
クルゼイロは2013、14年の全国選手権2連覇が嘘のように20年から2部降格。1年で再昇格を狙うもまさかの11位で2年連続で2部の屈辱。
ボタフォゴは2015年に2部に降格した際は優勝で再昇格したが、わずか5年で今年はぶっちぎりの最下位。ヴァスコもここ12年で4度目の2部降格だ。
伯国のサッカー史で“12強”常連のうち3チームが2部で戦うことになるのは史上はじめてだ。
全国選手権1部に参加する20チームのうちでも、12強という存在は特別だった。
それは聖州のコリンチャンス、パルメイラス、サンパウロ、サントス、リオのフラメンゴ、フルミネンセ、ヴァスコ、ボタフォゴ、ベロ・オリゾンテのクルゼイロとアトレチコ・ミネイロ、ポルト・アレグレのグレミオとインテルナシオナルの12チームのことだ。
資金に恵まれた大都市に拠点を置く12強は、これまで「戦力拮抗し」、「時期によって強いチームがまちまち」というイメージを作っていた。
これは、今や特定のビッグ・クラブばかりが常時強いスペインやイングランドをはじめとした欧州のサッカーでは見られなくなっていた光景だった。
だが、国際的なサッカーのビッグ・ビジネス化は伯国でも避けられなくなってきた。ここ数年はフラメンゴ、パルメイラスの安定した強さが際立つようになってきている。
両チームともに、欧州リーグ経験選手や外国人指導者との契約、ジュニアの育成資金、いずれにおいても他を圧倒し始めており、それがチームの成績に直結している。12強と呼ばれたチームの中でも確実に格差は生じつつある。
こうした流れの中、2部落ちした3チームは復活を遂げることが果たしてできるのか。
あるいはアトレチコ・パラナエンセやフォルタレーザのような他の地方大都市のチームや、ブラガンチーノのような裕福な企業がバックについた新興チームが台頭するのか。そこも含めて見ものだ。(陽)
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