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《ブラジル》先行き見えない「免罪PEC」=リラ下院議長は特別委員会設置で強行姿勢=だが議員本人も及び腰に

連邦議事堂(Marcello Casal)

 2月26日に下院で投票が行われる予定だった、連邦議員の逮捕を難しくする憲法改正法案3/21(PEC3/21)の投票が、下院内でもまとまらず延期となった。アルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)はPECの内容を整えるために特別委員会に諮ることを決めたが、一部のマスコミからは「免罪PEC(PEC da Impunidade)」「議員防護PEC(PEC da Blindagem)」と揶揄されるなど、評判が極めて悪く、審議が進展するかどうかが疑問視されている。2月26、27日付現地紙、サイトが報じている。
 同PECの投票は2月26日の午前中に行われる予定だったが、政党リーダーたちによる調整は進まず、結局この日の投票を見送った。
 PEC承認に必要な全体の3分の2(308票)以上の賛成を得ることが難しくなっていることから、リラ議長は特別委員会の設置を宣言。ここで意見をまとめようとしている。各政党は1日までに同特別委員会のメンバーを指名し、同PECの中身を見直すことになっている。
 だが、同PECに対する世間や司法界からの風当たりは強い。
 2月25日、キム・カタギリ下議が最高裁に「(連邦議員の逮捕について定めた)憲法第53条に反するとの理由でPEC3/21審議の停止を要請」したのに対し、ルイス・ロベルト・バローゾ最高裁判事は「議会での審議を事前に止めるには値しない」として却下し、議会自体で判断するよう求めた。

 しかし「憲法第53条はすでに2001年に改正が加えられたものだ」と指摘。「よって、このPECが骨抜きにされることを願っている」と、審議の末での却下を望む発言を行っている。
 ジウマール・メンデス判事も同日、SBT局の取材に応じ、今回のPEC3/21が2月16日に最高裁侮辱と軍政令第5号擁護でダニエル・シルヴェイラ下議が現行犯逮捕されたことに対する報復か否かとの問いに対し、「彼の存在はごく小さく、これ程の内容の法案を報復目的に引き出させるような人物ではない」として、連邦議会が同PECを提出したのはもっと大きな思惑があってのこととの見方を示した。
 メンデス判事もバローゾ判事同様に、「議会には(このような内容のPECを)審議する自由がある」という立場をとりながらも、「現行犯逮捕の改正が優先されるようなことがあってはならない」「この議題は法の安全性を揺るがしかねないもの」として警鐘を鳴らしている。
 連邦議員の方も、このPECに及び腰になっていることも報じられている。1日付のコレイオ・ブラジリエンセ紙によれば、連邦直轄区で現在行われているロックダウンを理由に、議員たちがPECその他の審議に参加しない意向を見せているという。
 上院でも、ロックダウンを理由に、2日からはじまる委員会審議に欠席を申し出ている上議が少なくないといい、下院でも職員たちが業務を行うことに対して抗議の姿勢を見せているという。下院の場合、2月1日の議長選後、少なくとも27人が新型コロナに感染している。
 こうした事情からも、リラ議長が示した「特別委員会で調整後、なるべく早期に本会議にかける」との意向の実現は妨げられそうだ。