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《ブラジル》緊急支援金 金額や財源巡り二転三転=3月再開目指すも迷走続く

2月25日のボルソナロ大統領(facebook)

 コロナ禍に対する新たな緊急支援金を創出するための緊急憲法改正案(PEC)を通過させるために、資金源として、労働者支援基金(FAT)や社会経済開発銀行(BNDES)からの支出カットなどを視野に入れ始めていると、1日付フォーリャ紙サイトが報じている。
 コロナ禍に伴う21年度の緊急支援金に関しては、連邦議会内から諸々の案が出されようとしていたが、ボルソナロ大統領が2月25日の定例ライブで、「毎月250レアルで計4回」との案を提唱。現在は、その線で動こうとしている。20年度は「600レアルを3回」が第1弾の金額で好評を得た。パンデミックの長期化により、9月からは半減したが、年末まで支給は延長された。
 だが、今年の場合、緊急事態宣言(カラミダーデ)を行っていないため、援助金を支給するための財源をどうするかが問題となっていた。また、大統領が言ったような「昨年よりも少ない額」での提案にも抵抗が表されていた。
 連邦議会では当初、「教育や保健への投資予定分から捻出」という案も検討されたが、これは議会内での強い反対を受け、先週、断念している。

 支援金に関するPEC審議は1日から再開されているが、新たな報告官による案では、FATからBNDESへの振り替え分を抑え、その分を支援金支給に回すという案を出す予定だという。だが、この方法では緊急支援金の支給再開にはまだ不十分で、すでに強い反発を招いている。
 このように意見がまとまらないことから、社会民主党(PSD)や自由党(PL)は「先に支払いの承認だけを行うのはどうか」との提案を行っているが、経済省は、「そんなことをして歳出上限をなし崩しに破れば、財政バランスを悪化させ、外国からの直接投資の減退を招く」として強く反対している。
 民主社会党(PSDB)や民主運動(MDB)の上院議員や、下院の独立政党、野党側議員らは、パンデミックが悪化していることを受け、「昨年より少額になったとしても、早く援助金を通過させることの方が必要ではないか」との主張を行い始めている。