3日の地理統計院(IBGE)の発表によると、2020年の国内総生産(GDP)は、過去30年間で最悪のマイナス4・1減となった。コロナ禍の1年ということで、減少はかねてから予想されており、「予想よりは良かった」とする向きもあるが、GDPの世界ランキングでは10位圏外に落ちた。3日付現地サイトが報じている。
3日の発表によると、20年のブラジルのGDPは7兆4千億レアルで、前年比で4・1%の減少となった。国民一人当たりのGDPはさらに低下し、4・8%減の3万5172レアルとなった。
GDPの落ち込みは、GDPが発表されはじめた1948年以降、史上最大の下落こそ免れたが、過去30年間では最大の下げ幅となった。過去のワースト記録は、1981年と90年の2度記録した4・3%減だ。
各部門別に見てみても、上昇を記録したのは2%増を記録した農業だけで、あとはすべて減少。下げ幅が大きかったのは、10%減の輸入や7%減の建築などだが、GDPにおける比率で考えた場合は、家庭消費の5・5%減や、サービス部門が4・5%下がったことの影響が大きかった。
家庭消費は過去25年間で最低だった。また、サービス部門では、ホテル、ジム、レストランなどを含む「その他」という部門で12・1%、郵便などの運輸部門で9・2%下がったのが特に響いた。
また、工業も過去5年で最低となる3・5%減を記録したほか、政府支出が4・7%減、輸出は1・8%減、投資も0・8%減を記録した。
市場では昨年中、20年のGDPに関しては、史上最悪の4・4%減を上回る、5%に迫る落ち込みも起こりうると予想も出ていた。だが、第3四半期に7・7%、第4四半期も3・2%の上昇を記録したことで、ワースト記録は避けられた。
また、先進国では、スペインの11%減をはじめ、イギリス9・9%減、フランス8・2%減、ドイツ5%減、日本4・8%減など、軒並み、ブラジルよりも大きな落ち込みを記録している。そうしたことから、今回のGDPの結果を「予想よりも良かった」とする声も存在する。
だが、今回のマイナス成長で、ブラジルのGDPはカナダと韓国に抜かれた。これにより、国際ランキングは2019年の9位から12位に落ち、10位圏外となった。まだ正式なGDPを発表していないロシアの数字が悪ければ、11位に上がる可能性は残されているが、10位以内に入ることはない。
現地紙の経済アナリストは、「想像したほど悪くはなかった」と評価しているが、21年からの景気回復に関しては、「ボルソナロ大統領による公社への介入やワクチン対策の不手際などで、最近は市場の反応が悪化しており、ドル高などが起こる可能性がある」などの見方を示している。
2日の場合、台所用のガスやディーゼル油にかかる連邦税を免税とするために、銀行に課す税金を引き上げたことで、ブラジルへの投資リスクが22・3%高まった。為替の方も、複数回に及ぶ中銀の介入にも関わらず、1ドル=5・67レアルを記録。2週間前のペトロブラスへの介入前は1ドル=5・44レアルだったから、既に4・2%のドル高となっている。