リオ州検察局が1日、14年の州議選でのボルソナロ大統領長男フラヴィオ上議の不正疑惑を担当する選挙検察部門に、フラヴィオ氏の弁護士の結婚式で仲人(マドリーニャ)をつとめたほどの親友で、それ以前にも、検察局の規則を破ってボルソナロ大統領支持を公言していたことで役職を外されたことのある人物を任命したことが明らかになった。1~3日付現地紙、サイトが報じている。
リオ州検察局が選挙検察の捜査班主任に指名したのはカルメン・エリザ・バストス氏だ。同氏は、フラヴィオ氏の担当弁護士のルシアナ・ピーレス氏の結婚式で仲人をつとめていたことがピーレス氏のSNSから判明し、複数の現地メディアで報じられている。
マドリーニャは「結婚親」とも呼ばれ、欧米の結婚式では式の準備や花嫁の身の回りの世話なども手伝う。結婚前から結婚後まで責任を負う立場となるため、通常は、双方の友人の中でもかなりの親友がつとめる慣習となっている。
担当する疑惑は、14年の州議選の際に申告した資産に関する文書を偽造したというものだ。この疑惑は、リオ市南部にあるアパートに関して、フラヴィオ氏が申告した金額と実際に払われた金額が異なっていると、ある弁護士が告発したことで浮上した。
同件は連警が捜査し、犯罪行為との証拠が見いだせなかったと報告したため、当時の選挙検察官がお蔵入りと判断したが、それを不服とした選挙裁判事が連邦検察庁に捜査の見直しを要請。昨年8月に検察庁が捜査の継続を命じたため、再度、リオ州の選挙検察に差し戻された。
リオ州検察局はこの事実に関し、「弁護士との友情が捜査に影響することはない」との見解を示している。
だが、バストス氏は、マリエレ・フランコ元リオ市議殺害事件を担当していた時、18年10月の大統領選でボルソナロ氏を応援していた姿がインスタグラムに掲載されていたことが発覚し、2019年10月に担当をはずされたことがある。
検察官は特定の政治家を公に支持することを禁じられていること、さらに、ボルソナロ大統領と次男カルロス氏が、マリエレ氏殺害当日の18年3月14日に、ボルソナロ氏と同じコンドミニオ(塀で囲まれ、門番もいる集合住宅)に住んでいた実行犯ロニー・レッサ容疑者宅を訪れようとした、もうひとりの実行犯エウシオ・ヴィレイラ・ダ・ケイロス容疑者の入場を許可した疑惑が持たれた最中での応援発覚だった。マリエレ氏の件でのリオ州検察局の捜査も、遅いとの批判を受けていた。
一方、フラヴィオ氏は2日、1日に発覚したブラジリアでの600万レアルの豪邸購入疑惑に関して、「安全確保のため、大統領府安全保障室(GSI)により厳重な警備を依頼した」と語った。GSI傘下には、かねてからボルソナロ一家やラシャジーニャ疑惑に関する捜査への強い干渉が噂されているブラジル情報局がある。