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サンパウロ州コロナ規制の限界

サンパウロ州の最新規制の図(Plano SP)

サンパウロ州の最新規制の図(Plano SP)

「おそらくこれがやれて精一杯だろう」。3日、サンパウロ州のコロナウイルスの最新の規制を聞いてコラム子はそう思った。
「全国での死者数過去最大を受けての、州全域を(規制最低の)赤レベル指定」。これは、いざ仕方のないことだ。このところ、テレビで連日、「コロナの感染者数、死者数が記録を更新した」「変異株が全国的に拡大」などの報道が続いている状態でありながら、それを無視してマスクなしでのパーティや深夜のイベントを行ったりする人が多かった。
 そういう人たちに危機の自覚を植え付けるという意味で、この措置にはコラム子も賛成だ。これで少なくとも無自覚なままに行われる集団イベントは防げるだろう。
 この状態でもなお、強行して人の群れを作りたいような反抗的な人たちは、州から危険分子とみなされ、マークも徹底されることになるだろう。


 そして、この措置を「向こう2週間」としたことも賢明だと思った。これが、赤レベル実施による、その間の閉店を余儀なくされる商業従事者にとっての「我慢の限界」だと思われるからだ。
 これが仮に1カ月だったら、「その間の補償をくれ」との要望が殺到していたことだろう。昨年、3カ月近くのあいだ商業活動が止められたときは、このコロナ禍がどういうものか、経済的打撃がいかなるものかもわからなかったから、商業関係者もまだ素直に協力できた。
 だが、そのダメージがわかってしまい、連邦政府の緊急支援金さえ昨年ほど出せないことがわかっている今では「健康も大事だが、金がなければ生活できない」が彼らの本音だろう。
 2週間でも打撃は打撃だが、まだ挽回の余地を感じさせる分、「1カ月」よりはだいぶマシだし、まだ「今はみんなで協力」という概念も共有されやすいだろう。
 そしておそらく、もう少し延長するにしても、「もう2週間」が限界だろう。今回の実施後でさえも抗議運動が予想されるのに、ましてやそれの延長だ。州がよほど気前よく補填を行わない限りは無理だろう。
 ただ、「2週間」に限定するなら、学校や教会も同様に中止すべきだったと思うし、この矛盾こそが商業関係者を苛立たせる理由にもなりえると思う。
「うちの店は入場者を少人数に規制して、社会的距離もしっかりとって営業している。それなのになぜ自分たちが営業中止になって、何倍も人が集まる学校や教会が許されるのか」。この矛盾に関しては州もしっかり説明しないと、商業関係者からの強い反発を受けそうな気はする。
 商業関係者とのあと腐れを作らないためにも、今回の規制はできたら2週間で終わってほしいところだが。(陽)