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《ブラジル》大統領の公社介入で不安定化=金融市場に連日マイナス効果=ブラジル銀行頭取も交代か

2月18日夜のライブ(reproducao/Facebook)

 【既報関連】ボルソナロ大統領が2月19日に行った石油公社のペトロブラス(PB)への介入後、内外の投資家の信頼感が揺らぎ、市場の動きが不安定になっている。だが、大統領は公社介入に当たる行為や批判を繰り返しており、マイナス効果が増していると2~4日付現地紙、サイトが報じた。
 大統領はPBが燃料値上げを発表した直後の2月18日夜、定例ライブでPB人事に介入する可能性を示唆した。その具体化が、カステロ・ブランコ総裁更迭とジョアキン・シウヴァ・エ・ルナ氏の総裁指名だ。
 大統領によるPBへの介入は2月19日と22日にPBやブラジル銀行、エレトロブラスなどの公社の株価暴落を招き、22日の公社の時価総額は1132億レアルも下落した。
 大統領はPB人事介入時、「まだ変わる」と発言した。この具体化は、エレトロブラスや郵便公社を民営化するための法案が矢継ぎ早に出された事や、伯銀頭取交代の噂が広まっている事だ。
 公社の民営化は最高裁も承認しており、法案提出自体は問題ではない。ゲデス氏も2日、Valeなどの民営化成功例を挙げながら、「できれば全公社を民営化したい」と語ったが、大統領本人はPBとブラジル銀行、連邦貯蓄銀行(CAIXA)の民営化には反対している。
 ゲデス氏の意向が大統領から否定されたり、大統領が同氏の意向に沿わない決定を下す事はしばしばある。

 PBの総裁交代は、国際価格の動きに合わせて燃料価格を調整するという原則による値上げが続き、トラック運転手達の不評を買った事に対する反応だ。
 また、PBの決定に反発して2月18日のライブで語った台所用のガスとディーゼル油にかかる連邦税免税を果たすために、銀行関連の税金を引き上げた事はPBへの介入同様、ドル高を招いた。
 PBは第4四半期に599億レアルという、市場の予想を上回る利益を上げ、ジウマ政権で生じた甚大な損失回復への努力の実を示した。その矢先の人事介入は投資家の信頼感喪失を招き、市場の不評を買った。
 モーガン・スタンレー銀行のアレサンドロ・ゼマ頭取は1日、マクロ経済を無視した政治介入が高金利や景気後退(リセッション、失業率上昇を招いた例に触れ、「PBを政治的な道具とする愚行を繰り返すな」と語った。
 ゲデス氏も2日、PBへの介入やディーゼル油への連邦税免税のための銀行への税金引き上げが思わしくない結果を招いている事を認めた。
 大統領による介入は続いており、ブラジル銀行のアンドレ・ブランダン頭取をCaixaセグリダデのジョアン・エドゥアルド・ダカシェ頭取と交代させると報じられているが、ブラジル銀行の経営審議会は現頭取の続投を求めている。
 PBへの介入は信頼感喪失や株価暴落、ドル高と共に、インサイダー取引も招いた。PB株が29・27レアルだった2月18日、閣僚会議と定例ライブの間に僅か16万レアルで400万株を買った投資家が、26・50レアルとなった22日に売り払い、1800万レアルを儲けたという。有価証券取引委員会(CVM)は株価急落の可能性を事前に知った上での不正行為として、情報入手経路などを調査中だ。