新型コロナの感染再燃で集中治療室(UTI=ICU)が満杯となり、空きを待つ間に亡くなった女性の長女が母からの最期のメッセージを公表し、外出を避け、感染回避をと呼びかけている。
母のヴァレリアさん(42)と交わしたワッツアップのメッセージを公表したのは、リオ・グランデ・ド・スル州エステイオ市在住のジウリアさん(23)だ。ヴァレリアさんは新型コロナ感染症悪化で、同市の公立病院の一般病室からUTIに移る必要が生じたが、空きを待つ間に亡くなった。
同州は感染拡大が深刻で、赤レベルよりもさらに厳しい黒レベルの外出規制が州全域に敷かれている。感染者急増は、比較的若い人の入院数増加や入院期間の長期化を招き、UTI、一般病室の双方で患者が急増。UTIが満杯となる病院も続出し、搬送先が見つからず、救急車内で死亡する人や、自宅で亡くなる人なども出ている。
ヴァレリアさんもUTIに移るように指示されたが空きがなく、最後のメッセージには「UTIに行く」「でも、どこにも空きがないの」「愛してるよ」と書き込んだ。
ジウリアさんは母が亡くなった数時間後、これらのメッセージをツイッターに上げた。ジウリアさんは携帯電話の画面の写真に、「これは母からの最後のメッセージです。どうか、マスクを使い、必要な時以外は家にいて」と書き添えた。
この投稿には3日足らずで12万5千回以上の「いいね」がつき、1万3千回以上シェアされた。
ヴァレリアさんは、1日の死者が1900人を超え、1週間の死者も1日平均1300人超(7日現在では1496人/日)という現状を示す一例だ。
彼女は糖尿病と喘息持ちで、いつも感染を恐れていた。また、自分が経営するアイスクリーム屋に来る人にも常時、マスク着用を勧めていた。
だが、2月14日頃、咳が出始め、夫と共に検査を受けたところ、感染が判明し、夫婦で自宅隔離に入った。別宅で祖母と暮らしているジウリアさんによると、ヴァレリアさんは入院もしたが、病床が足りず、少し良くなると家に戻された。
だが、2月20日に状態が悪化。肺がやられ、救急外来で入院した。周囲への感染回避のため、必要なものを届ける夫以外は誰にも会えず、ワッツアップだけが連絡手段となった。
2月27日には病状がさらに悪化。UTI移転が必要と判断されたが、どこも満杯。家族が見つけた病院は移動に5時間かかり、担当医から体がもたないと言われた。
冒頭のメッセージは、病状悪化を案じるジウリアさんが様子を知ろうとして送ったメッセージへの返事だ。ジウリアさんはさらに、「頑張って」「卒業式にも出てもらわないと」「愛してる」と書き込んだが、これが最後の対話となった。
UTIに移れず、ヴァレリアさんは一般病室で人工呼吸器を使い始めたが、病状は改善せず、2日に亡くなった。
「3密さえなければ」「政府が明確な姿勢を示していてくれれば」と考えたジウリアさんが、母との対話をツイッターに流すと、無数のメッセージが届いた。
ジウリアさんは疑似感染症で検査の結果待ちのため、祖母や2人の妹達、応援してくれた人々とのハグもできないが、身近な人を失った人達からのメッセージに慰めも見出している。(5日付G1サイトより)