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《ブラジル》株式市場と為替が連日大振れ=ルーラ問題と緊急PECで

8日午後から大きく値を下げたIBOVESP INDEX

 ブラジルの株式市場と為替が、8、9日と連日の大振れを起こした。
 8日は最高裁のエジソン・ファキン判事が、ラヴァ・ジャット作戦で有罪判決を受け、18年の大統領選への出馬も差し止められたルーラ元大統領の裁判を無効化した事で、ボルソナロ氏有利と見られていた来年の大統領選の行方が分からなくなった事などで、市場に衝撃が走った。
 8日のサンパウロ証券市場では、株式指数が3・98%下落し、11万611ポイントとなった。今月に入ってからの株式指数は0・54%高となってはいるが、今年に入ってからの株式指数は、7・04%も下落している。
 9日は、ボルソナロ大統領が8日に行った発言により、コロナ禍で苦しむ人達を救済するための緊急支援金支給を可能にするための緊急PEC(憲法補足法案)の内容が変わるのではとの懸念が、市場にも影響を与えた。
 9日の為替は一時、1ドル=5・8744レアルに至ったが、その後、アルトゥール・リラ下院議長と緊急PECの審議時に報告官を務めるダニエル・フレイタス下議の間で合意が成立し、本文には手を加えず、上院が承認した内容のままで承認する事になったとの情報が流れたため、前日の終値より0・23%高の1ドル=5・7919レアルで引けた。

一時は1ドル5・9レアルちかくまで下落した為替

 ボルソナロ大統領はこのところ、リベラルな経済政策を忘れ、大衆受けする政策ばかりを口にしている。トラック運転手を意識した石油公社のペトロブラス総裁交代などはその一例で、その直後の株式市場ではペトロブラスをはじめとした公社の株価が大暴落した。
 大統領による政治介入は国際社会からも懸念の目を向けられ、様々な場面でネガティヴな影響が出ていたが、8日に行ったPECの内容を変えかねない発言も、市場の懸念材料となっていた。
 下院での緊急PECの審議は10日に行われ、承認後に大統領の裁可となる。経済省が用意している緊急支援金支給のための暫定令は、このPECで認められる440億レアルを財源としている。
 ドルは今月に入ってからだけで3・34%、今年に入ってからでは11・66%も高くなっており、レアルは世界でも最も不安定な通貨の一つとなっている。(9日付G1サイトより)