サンパウロ州は11日、医療崩壊が進む中、コロナウイルスの感染抑制策としての外出自粛規制を現状よりもさらに厳しくし、15日からは「紫レベル」を採用すると宣言した。これにより、現状の赤レベルに加え、教会の集会やサッカーのサンパウロ州選手権などが中断されるほか、これまで「生活必需」として認められていた活動の一部にも禁止になるものが生じた。11日付現地サイトが報じている。
サンパウロ州では6日から、州全域で外出自粛規制中最低の赤レベルを実施している。そこでは、食品売り場や薬局、ガソリン・スタンドなど、必要不可欠とされるもの以外の商業活動が禁止された。
だが、同州では既に、大サンパウロ市圏や内陸部で集中治療室(UTI)が満杯になり、医療崩壊を起こしている市がでており、UTIの空きを待っている間に亡くなる人も、9日までだけで38人でている。UTIの占有率は過去最高の82%で、大サンパウロ都市圏では83・6%に達している。
また、コロナによる死者も、9日が517人で過去最多となった上、10日も469人で、1週間の死者の平均が312人/日に上昇。10日の数字ははじめての300人超えだが、1週間における死者の平均は、8日の291人/日以来、3日連続で、20年8月に記録した289人/日を超えている。
現状の赤レベルより厳しい「紫レベル」の導入は2月から検討されており、9日にも導入発表かと思われていたが、その時はされなかった。だが、ジョアン・ドリア・サンパウロ州知事は、「(必要ならば)不人気な政策でもやらざるをえない」と語り、実行を示唆していた。
10日に発表された規制では、これまでは「30%の人数」という条件付きで認められていた教会の集会(礼拝、ミサ)が禁止となった。ペンテコステ系の教会は特にコロナウイルに対する猜疑心が強く、外出自粛にもっとも反対している勢力で、かねてから対策が注目されていた。
また、サッカーのサンパウロ州選手権をはじめとする、スポーツの大規模な大会の開催は、無観客であっても禁止となる。9日は、サンパウロ州政府の記者会見の前に、ブラジル・サッカー連盟(CBF)が「試合の中断は行わない」と発表したため、サッカーの試合中止を発表できなくなり、紫レベル採用の発表が遅れる理由のひとつとなった。
他方、もうひとつの注目点だった学校での対面授業に関しては、私立校と市立校に対して「35%の生徒」での対面授業継続が許可された。州立校は4月と10月の休みを前倒しして、15~28日は休暇扱いとするが、食事の提供が必要な生徒への対応と教材の配布は続けられる。ただし、学校での対応は事前の予約が必要だ。
学校での対面授業の継続は、教職員らからの反対が強く、閉校(対面授業停止)を願う声が上がっていたが、「子供を預けられず、働きに行けない」親などに対処したものだという。私立校や市立校が対面授業を継続するか否かは、それぞれの学校や市の判断に委ねられる。
さらに、これまで「必要不可欠なもの」として認められていた建築資材の販売店は営業が禁止され、生活必需ではない管理業務などは、全てテレワークへの移行が義務付けられる。
レストランやバー、その他の店も、顧客が店頭に出向き、対面で受け取る形式は禁じられる。デリバリーは24時まで、ドライブスルーは5時から20時まで認められる。
噂に上がっていた「必要不可欠なものの営業でも時間が短縮」は行われなかったが、20時から翌朝5時までの外出禁止は継続される。
サンパウロ州は、この規制を15日から30日まで続ける。6日からは州全域を赤レベルにすると発表した時点での規制は、19日までの予定だったが、状況悪化で、規制が厳しくなると共に、規制期間が延長されたことになる。