ブラジルのテレーザ・クリスチーナ農相とアルゼンチンのルイス・バステラ農相が9日、両国間のアグロビジネス上の障壁31件の撤廃を発表したと9~10日付ブラジル国内サイトが報じた。
これらの障壁は両国間で、54品目の自由な売買を阻んでいた。これらの品目関連の交渉は49のテーマに及んでおり、9日にブラジリアで開かれた会合で、障壁撤廃が決まった。
障壁が撤廃されるのは小麦や肉類、穀類、乳製品、果物、ペットフードなどで、市場開放や再開が決まった。撤廃された障壁の中には、両国間の交易を10年以上阻害してきたものも含まれている。
アルゼンチンはブラジルにとり、農産物やその加工品の16番目の輸出相手国で、輸出額は117億ドルに上る。輸入では4番目の交易国で、昨年は農産物や加工品31億8千万ドル分を輸入した。
ブラジルからの輸出が可能となったのは、肉粉や骨粉、鶏卵、卵やその加工品、熱処理された家禽製品、動物飼料用の乳製品や飼料用の豚の加工タンパク、鶏肉や豚肉製品と混合製品、フリーズドライ肉、牛の精液や胚、ゼラチン用に裁断した牛の皮、冷凍した牛の部位(舌、心臓など)、両生類、ラノリン、ペットフードその他だ。
また、豚脂、家禽類の油、動物飼料用の香料添加物、冷凍した馬の精液なども認められ、人が消費する乳製品の国際衛生証明書(CSI)が更新された。
アルゼンチンからの輸入が可能となったのは、シア(しそ科の植物、chia)の粒や種、ミシオネス地域の松材、エビ(未処理のものと処理済みのもの)などで、牛の胚や馬の精液のように共通のものも含まれる。
牛輸出のためのテストの延長、カボチャ輸出を認証するための新手順の作成、牛海綿状脳症(狂牛病)のリスク軽減策に関する両国間の相違を埋める方策などは、今後も継続して検討される。
また、アルゼンチン側からの泥炭、ブラジル側からのイチジク、パッションフルーツと、リスク軽減システムに問題があるブドウの4品目についても、数カ月間かけて障壁を撤廃する意向だ。
クリスチーナ農相は、今回の障壁撤廃で両国間のアグロビジネスは従来以上に盛んになると見ている。また、ブラジル農牧調査研究公社(Embrapa)と国立農牧技術院(Inta)がアルゼンチン側と行っている研究は提携期間が5年間延長された。
Embrapaによると、アルゼンチンは米、仏に次ぐ世界3位の研究提携国で、大豆や森林、遺伝子関連の諸分野で共同研究が行われている。
Intaでは、遺伝資源に関する情報交換を次のプロジェクトとして推進していく予定で、小規模農家を支援するためのラジオやテレビのプログラム(2カ国語)の充実も目指している。
両農相は、9月に開催される国連のフードシステムサミットなどの国際イベントに向けた2国間関係とメルコスルの強化のために、地域を見据えた行動を重視する事が必要だと強調した。両国間の障壁撤廃は、イデオロギーの差を越える動きとしても注目されている。