10日、ルーラ元大統領は、8日にラヴァ・ジャット作戦で抱えた裁判4件が無効になってから初めて、公の場での会見を行った。ルーラ氏はその場で、収賄罪などで自分に有罪判決を下したセルジオ・モロ元判事のことを厳しく批判し、「私はブラジル500年の歴史上、最大の嘘の犠牲者となった」と語った。11日付現地紙が報じている。
サンベルナルド・ド・カンポ市金属労組での会見は23分に及び、これまでたまった鬱憤を晴らすかのように言いたい放題だった。「我々は(18年4月に)刑務所に入る前に本を書いていた。私はそれに『真実は勝つ』という題をつけるように言った。私はブラジルで何が起きていたかを知っていたし、いつかこの日が来ると確信していた。そして、遂に、この日が来た」と冒頭で語った。
最高裁のエジソン・ファキン判事は8日、「収賄の容疑がペトロブラスと関連しているかどうかが疑問」として、ルーラ氏の案件をラヴァ・ジャット裁判の行われているパラナ州の管轄から外したが、裁判そのものは、連邦直轄区に管轄を移して再開される可能性が残されている。
ルーラ氏はそれに対して、「それは別に構わない。それより、モロ氏自身の疑惑が裁かれるよう、私は戦いたい。ブラジルの歴史上、最大の嘘つきが英雄扱いされた訳だからな」とモロ氏を痛烈に批判した。
ルーラ氏のラヴァ・ジャットへの怒りは収まらず、「モロ氏と(ラヴァ・ジャット捜査班元主任の)デルタン・ダラグノル氏は、私が味わった以上の苦しみを味わっているに違いない。彼らは過ちを犯したが、私は犯していないからだ」と語った。
ルーラ氏はこの他に、ボルソナロ政権への批判も行った。ルーラ氏はボルソナロ大統領を「虚勢だけの男」と嘲り、問題視されているコロナ対策に関しても、「私は予防接種を受けるぞ。君たちも受けろ。だが、接種を受けたからといって出歩くな」「マスクも使い、消毒もせよ」と呼びかけ、ボルソナロ氏を挑発した。ルーラ氏が生活の拠点を置くサンパウロ州では、15日から同氏の年齢である75歳と76歳への接種が始まる。
パウロ・ゲデス経済相の政策に関しても、「あれでは経済成長はしない。借金ばかり増えるやり方だ」と批判した。
この会見後、ボルソナロ陣営は「我々の武器はワクチンだ」というメッセージを拡散。10日午後開いた、ワクチン購入を容易にする法令裁可の式典では、大統領以下、全員がマスク姿という、これまでにない変化が見られた上、パズエロ保健相が感染予防に務めるようよう呼びかけるビデオも放映された。だが、同保健相は11日、医療崩壊の可能性を否定しつつ、3月到着分のワクチンは予定を下回るとも発表した。
ルーラ氏が22年の大統領選に出馬すれば、ボルソナロ氏の最大の対抗馬になると見られている。