
8日に最高裁のエジソン・ファキン判事によるラヴァ・ジャットの裁判案件無効化により、ルーラ前大統領への注目度がうなぎのぼりだ。
逆に、ルーラ氏を裁いたことで「国民の正義の英雄」イメージが絶頂に達していたはずのセルジオ・モロ元判事の方は、立場が一転して危うくなった。
現在、最高裁の第2小法廷で、「モロ氏のラヴァ・ジャット作戦の裁きは政治的偏向があったか」の審議が行われている。
さすがにかつては国民のヒーローだった人だから、彼を以前から良く思わないジウマール・メンデス氏が望むような厳しい処罰というわけにはすぐにはいかないだろう。だが、現状では評価が五分五分とかなり苦しい立場に追い込まれている。
コラム子の見る限り、今回の審理はルーラ氏の裁判や、ハッキングされたモロ氏の携帯電話に直接関わるところに焦点があたっているようだ。
伯国政治史上でもかなりの影響力を持つ政治家だけにそれも納得はする。
だが、「モロ氏の公正性」を問う場合、コラム子ががもっとも問題にして欲しいのは実はそこではない。
コラム子がモロ氏でもっとも問題だと思う行為は、2018年10月1日、大統領選の6日前に行ったルーラ政権の元財相、アントニオ・パロッシ氏の褒賞付証言の一般公開を認めたことだ。
そこでパロッシ氏は2010年、14年のジウマ氏の大統領選の際、労働者党(PT)が巨額のキャンペーン費を使い、ルーラ、ジウマ両氏に収賄の疑いがあるように世間に訴えた。
この公開で、ルーラ氏の代理で出馬したフェルナンド・ハダジ氏は断然不利となり、ボルソナロ氏が当選に大きく近づいたものだ。司法の政治介入と言われても仕方ないタイミングではないか。
それから2年以上経過したが、パロッシ氏の証言を裏付ける証拠はなにひとつ浮上していない。それどころか、パロッシ氏の証言そのものが、信ぴょう性に欠いていることで、一度は連邦警察から承認を却下されている。そのような怪しい証言を大統領選の一次選の直前に公開したことになる。
全く同じ時期、モロ氏はジウマ氏を罷免に追い込んだ元下院議長で、この当時にすでに収賄で獄中にあったエドゥアルド・クーニャ氏の公判を「長女の下議選があるので」と称して中止にする判断を行っている。
さらに、これも同じ時期に、モロ氏夫人のロザンジェラ氏がインスタグラムでボルソナロ氏への抗議運動「エレ・ノン」に対する批判的投稿をしたのを皮切りに、人目憚らずボルソナロ氏支持を行っている。
ボルソナロ氏から「当選の暁には法相就任」との事前交渉があったことが報じられているが、それが実際にいつからだったのかは、やはり気になるところだ。
世は「あのルーラ氏を有罪にした」ことに目が行きがちで、彼らがルーラ氏の無実こそを証明したいのもわかる。だが、それでも、パロッシ氏のあの証言の件はやはり気になる。(陽)