エドゥアルド・パズエロ保健相に14日、辞任の噂が広がった。ボルソナロ大統領は14日、後任候補として名前が挙がっていたルジミラ・アジャール氏とも会い、3時間にわたって話し合ったが、同氏は以前からボルソナロ氏のコロナ対策を批判していることから反対の声があがり、15日に本人も依頼を正式に断った。15日付現地紙、サイトが報じている。
パズエロ保健相は昨年5月、ネルソン・タイシ前保健相の辞任で代行に、その後、正式に保健相に就任した。だが当初から、医療の経験のなさから手腕を疑問視され、外出自粛やワクチンなどに懐疑的なボルソナロ大統領と、コロナ対策を強く求める国民や連邦議会との板挟みとなり、強い指導力が発揮できずにいた。
そして今年1月14日にアマゾナス州マナウスで起きた、病院での酸素不足と窒息死という形での医療崩壊に関し、前年の12月からその兆候の連絡を受けていたにもかかわらず、対応が大きく遅れていたことが発覚。議会調査委員会(CPI)の設置が求められ、パズエロ氏の解任も求められていた。
とりわけパズエロ氏は、ロドリゴ・パシェコ(民主党・DEM)、アルトゥール・リラ(進歩党・PP)の上下両院議長の受けが悪かった。両議長は、今月中に連邦政府に届けられるワクチンの数が、当初発表された4600万回分から何度も下方修正され、8日にはわずか2500~2800万本との見込みにとどまったことや、1日の死者が2千人を超えた10日に「医療崩壊は起きていないし、これからも起きない」と発言したことなどを不満に持ち、解任を求めていた。
ボルソナロ大統領はパズエロ氏をたえずかばい続けていたが、中道勢力「セントロン」の意向には逆らえず、13日に急きょ、パズエロ氏と会談を行った。
パズエロ氏は14日も自身の辞任を否定している。だが、ボルソナロ大統領は14日、新保健相候補として、心臓外科の女医ルジミラ・アジャール氏とブラジリアで面談した。同氏を推薦したのは、彼女を主治医とするアルトゥール・リラ下院議長だと言われている。同氏はボルソナロ氏と旧知の仲でもあるロナウド・カイアード・ゴイアス州知事(DEM)ともつながりのある人物だ。
ルジミラ氏が候補に上がった際、最高裁判事の一部やロドリゴ・マイア前下院議長、さらには大統領長男フラヴィオ上議までが支持する声をあげた。
だが、このことが報じられると、ボルソナロ氏の支持者たちからネット上で猛反対が沸き起こった。それは、ルジミラ氏がソーシャル・ディスタンシングや外出自粛、ワクチンの支持者であり、さらにはボルソナロ氏を強く批判していたことも報じられたためだ。また、15日には、ルジミラ氏自身も正式に保健相への就任依頼を断ったことが報じられている。
報道されている次期保健相の有力候補としては、心臓外科医のマルセロ・ケイローガ氏や、ルイス・アントニオ・テイシェイラ下議(PP)の名前があがっているという。