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《ブラジル》大統領本人にも不正所得疑惑浮上=下議時代に幽霊職員から給与をキックバック?=捜査対象になる可能性も

疑惑を報じるフォーリャ紙(Twitter)

 長男フラヴィオ上議にかけられている幽霊職員の給与をキックバックさせる不正所得疑惑「ラシャジーニャ」が、ボルソナロ大統領本人にまで及んでいることが報じられている。15、16日付現地紙、サイトが報じている。
 ボルソナロ大統領もラシャジーニャを行っていた可能性があるとスクープしたのは、サイト「UOL」15日未明の記事(https://noticias.uol.com.br/reportagens-especiais/anatomia-da-rachadinha-bolsonaro/index.htm#cover)だった。
 それによると、UOLは20年9月に、リオ州地裁が許可した銀行口座などの情報開示の内容を入手し、その内容を解析してきたという。同サイトが入手した情報には、フラヴィオ氏と共に起訴されたラシャジーニャ疑惑の関係者や企業約100人を含む、ボルソナロ家周辺の怪しい人物の2007年から18年に至るまでの銀行取引の資料が含まれていた。
 その結果、ボルソナロ氏の下議時代の職員4人が、平均して給与の72%を現金で引き落とす行為を行っていたことがわかったという。4人が受け取った給与や手当の総額は76万4千レアルで、そのうちの55万1千レアルが現金で引き落とされていたという。この現金が議員にキックバックされていたのではという疑惑だ。
 たとえば、2009〜14年にボルソナロ氏の下議職員を務めていたフェルナンド・ナシメント氏の場合、この間に得た16万4千レアルの給与のうち、77%にあたる12万6千レアルを現金で引き落としていた。月によっては全額を現金引き落としたこともあったという。
 さらにナシメント氏はこの間、むしろリオ州議だったフラヴィオ氏のもとで働いていた形跡が、同氏のSNSからはうかがわれる。前記期間中に同氏が行った投稿のほとんどは、フラヴィオ氏とリオ州議会のものだった。ナシメント氏はボルソナロ氏の職員を辞めると同時にフラヴィオ氏の職員となり、上議となった現在も、夫婦で職員を務めている。

 また、ネルソン・ラベロ氏は2005年にリオ市議のカルロス氏の職員となった後、ボルソナロ氏の秘書室に異動し、11年まで勤めた。その後もフラヴィオ氏、カルロス氏の下で働いた後、17年にボルソナロ氏の職員に戻った。
 同氏は約8年間、ボルソナロ氏の下で働いており、19万2千レアルの給与の約70%にあたる13万4千レアルを現金で引き落としていた。同氏はそれだけの給与がありながら、2012年に3200レアルの借金をめぐり、法廷調整を行っている。ボルソナロ氏が大統領選で当選した18年には、88%を現金で引き落としている。
 14年から17年に勤めたダニエル・メデイロス氏は、給与が短期間に1600レアルから1万レアルにあがるという不可解な動きがあった上、給与の72%をリオ市内の銀行で引き落としていた。それだけの高級取りでありながら、同氏は警備員などのアルバイトもやっており、フラヴィオ氏の職員だったファブリシオ・ケイロス氏に車を貸したりもしていた。
 運転手などの「何でも屋」だったジャシ・ドス・サントス氏も、2011年12月から12年7月の8カ月間勤め、給与の45%を現金で引き落としている。
 彼ら4人は連邦議会内では実質的に仕事をしておらず、仕事上のメールさえ持っていなかったという。
 ボルソナロ大統領の2番目の妻アナ・クリスチーナ・シケイラ・ヴァレ氏は、ボルソナロ氏の職員として8年間勤めていた姉妹のアンドレア氏が辞めて1年2カ月後、アンドレア氏の給与振り込み用の口座に残っていた5万4千レアル(現在の価値なら11万レアル)をそっくり受け取っている。
 さらに次男カルロス・リオ市議にも、元職員4人が57万レアルの現金を引き落とした疑惑が持たれている。
 元検察庁捜査官のクラウジオ・フォンテレス氏によると、ボルソナロ大統領をこの件で捜査するのは可能とのことだ。自由社会党(PSOL)のマルセロ・フレイショ下議は検察庁に捜査要請を提出。PSOLも議会調査委員会(CPI)の設置を求める意向だ。