コロナ禍による1日の死者が3千人に近づく勢いとなり、国民の世論調査でも50%以上が連邦政府のコロナ対策に不満と答えるデータが出ている中、ボルソナロ政権からは真摯に取り組む姿勢が見えない様子が報じられている。17日付現地紙、サイトが報じている。
16日、ブラジルでのコロナウイルスによる死者は2842人(保健省統計では2841人)を記録した。これは10日に記録した2286人を大きく塗り替えるもの。この日最後に発表されたリオ・グランデ・ド・スル州の死者502人を足す前からすでに記録更新が決まっているという、これまでにない規模の増加となった。医療崩壊の進むサンパウロ州でも、この日は新記録となる679人と、これまでの最高記録だった521人を100人以上上回った。
16日の死者数は世界規模で見ても突出しており、2位の米国は1245人とブラジルの半分以下、3位のイタリアの502人はサンパウロ州の死者数さえ下回っている。
コロナ禍に対する国民のいらだちは、世論調査でも明らかになってきている。ダッタフォーリャが15、16日に行った調査によると、ボルソナロ政権のコロナ対策に関しては、国民の54%が「悪い/最悪」と答えていたことがわかった。1月20、21日の調査で悪い/最悪と答えたのは48%だったから、6%ポイント上昇し、不満を持つ国民が過半数を超えたことになる。一方、「良い・最良」は26%から22%に下がった。
ボルソナロ大統領への評価も「悪い/最悪」が44%で、ワーストだった昨年6月の水準に戻った。ボルソナロ氏への評価は緊急支援金の支給によって左右され、昨年12月は「悪い/最悪」が32%にまで落ちていたが、緊急支援金の支給停止と感染再燃で逆戻りしてしまった。「良い/最良」も19年8月に記録したワーストの29%に迫る30%にまで落ちている。
さらに「コロナ禍の状況は誰の責任か」「コロナ対策の遅れは誰の責任か」の問いでも、「ボルソナロ大統領」と答えた人は43%と42%で、圧倒的に多かった。2位の「知事」はそれぞれ17%と20%で、その差は歴然だ。
アミウトン・モウロン副大統領も16日、ボルソナロ大統領に関し、「ここまで起きてきたことに責任を持ち、この状態から抜け出せるよう努めるべきだ」と批判的な発言を行い、注目された。大統領はこれまで、マスク着用なしで公的行事に参加し、街頭などでも人の群れを作った上、知事の外出自粛政策を批判し、ワクチン対策に消極的だった。
こうした状況の中、大統領自身のコロナ対策への変化が求められているが、現状はそうではない。15日に新保健相に就任受諾したマルセロ・ケイローガ氏は、社会的隔離やマスク着用、ワクチン接種を主張する人物だが、16日の会見では「保健相は政権の対策を具現化する立場」との表現で、ボルソナロ氏に従う姿勢を示し、自らがコロナ対策を牽引していく意思を見せなかった。
さらに17日、下院の連邦政府リーダーのリカルド・バロス下議(進歩党・PP)も、死者数増加が世界でも類を見ない勢いになっている状態である中、現状を「良好でさえあると思う」と発言し、物議を醸した。